大宮妄想小説です

BL要素含みます

パラレルです


場面戻ります







side N







「あー、懐かしいな」







思い出の高架下は昔からちっとも変わってなくて。

懐かしくて、少し胸が痛くなる。


あの時ここで「好き」なんて言わなきゃ良かった。

いや、違うか。


言ったのは後悔してない。


「ニノとはずっと友達でいたい」って言われて、きちんと「それは無理」って言わなかった俺が悪い。

あの時にキッパリ離れていたら、今までこんなに長く苦しまなかったかもしれない。







「でもさ、苦しいだけじゃないから困るんだよ」







やっぱり幸せな時もあるから、なかなか離れられないし期待してしまう時もあって。


でもさ、今までとは違った彼女が出来た大野を見て、大野が結婚する未来が見えてしまった。


そんな未来だったら、俺はもう大野の傍には居られない。

居たくないんだ。


二十歳の誕生日にって決意していたら直前になって突然そんな彼女が出来るんだもん。

まあ、彼女がいなかったとして、告白してもダメだった可能性の方が高いけど。


でもとにかく、これはもう離れろって事なんだよな……。







「もう流石に限界だよ……」







そう一人呟いて、屈んで目の前の懐かしい小川を覗き込んでいたら…………。








「ニノちゃん!早まっちゃダメ!!」







そんな声が聞こえて、背中に強い衝撃。

気づくと目の前の小川に落ちてた。









「ニノちゃんごめん、何か思い詰めたみたいに川を覗き込んでたから……」







俺が自 殺 すると勘違いした相葉さんが、引き止めようと後ろから俺にしがみついたけど、その勢いが強過ぎて一緒に小川に転落したんだ。







「あのね……、川っていうか、どう見ても小川だし。

深さが10センチぐらいだから良かったものの、深かったら2人でオダブツでしたよ……。

大体自 殺 するつもりはないので安心してください」






「良かったー、でも本当にごめんねっ!」






浅いから足が少し濡れただけで済んだし、平謝りする相葉さんを見ていたら何だか可笑しくなってきて笑ってしまった。



俺が笑ったから、相葉さんも少しホッとした顔をした。



相葉さんって不思議なんだよね。

相葉さんの前では怒りなんて長続きしないし、自然と笑顔になってしまう。

マイナスイオン出てんのかな。







「あのね、おーちゃんが、大学にニノちゃん探しにきたよ。

大丈夫?」







「そっか……」







相葉さんには大野との関係を話した事があったから。

大野の様子できっと何かを感じて、俺の事が心配になって来てくれたんだろうな。



ん?

でもどうしてここに俺が居るって分かったんだろう?

この場所は大野と俺だけの秘密の場所だし、だから俺は誰にもここの存在を教えていないのに。



訊こうと思ったら相葉さんが言った。







「ニノちゃん、濡らしちゃったお詫びに、特別にひとつだけ願いを叶えてあげる」






突拍子のない言葉に頭の中がハテナになる。







「へっ?」






そんな俺にはお構いなしでグイグイ訊いてくる。







「今、一番の願いは?」








一番の願い……。

本当は大野に好きになって貰いたいのが一番の願いだけど。


覚悟をもって離れた今、それはもう望むのは止めよう。


それなら、次の願いは、俺が居なくなって大野がどうしているのか見てみたいかな……、何て未練たっぷりな自分に苦笑する。



でもまあ、どちらの願いも相葉さんが叶えられるはずがないし。

相葉さんの勢いに押されて真面目に考えた自分に思わず笑ってしまう。







「じゃあ、今度ラーメンご馳走してください」







そう言ったら相葉さんはニコッと笑った。







「一番目は……うーん?

じゃあ二番目の願い叶えてあげる。

しゃらしゃらぽん」







何で二番目なのよってつっこもうと思ったら。

相葉さんがふざけた呪文を唱えるから。


「ちょっと色々つっこみどころ満載なんですけど」って笑いそうになったけど笑えなかった。

だって、急に視界がぼやけて、ぐるぐると世界が回り始めたんだ。








「えっ、何……?」






「ニノちゃん行ってらっしゃい。

こっちは任せておいて」







遠くで相葉さんのそんな声が聞こえたと思ったら、次の瞬間には見覚えのある景色が目の前に広がったんだ。








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