大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
大野がふられたら最高に嬉しいなんて、俺、最低だろ?
でもさ仕方ないじゃない、俺、大野が好きなんだもん。
俺が大野への恋心を自覚したのは、中学1年で大野に初めて彼女が出来た時だった。
仲良く手を繋いで下校していく姿とか、うっかりキスしてるところとか目撃しては胸を痛めていたんだよね。
ちなみに、その初めての彼女と大野が別れた後に、小さい頃に良く2人で遊んだ高架下の秘密基地で大野に「好き」って伝えた事もある。
「ずっと友達でいたい」って見事に振られたけどね。
それで2人の関係がぎこちなくなったりするんだろうかって思っていたけど、驚くぐらい普通どおりだった。
いつものように、冗談言って、笑って。
それはそれで俺は複雑な気持ちではあったけど。
そして、大野には何度も彼女が出来て……。
まあ、俺はかなり胸は痛かったけどね。
だから高校から違うところに行って離れようとしたのに、結局同じ高校になって。
大学は離れたはずなのに、何故か大野は俺の大学の近くにマンション借りて住んでるから、結局こんな風に離れられていないんだ。
「だからもうさ、俺と付き合えば良いじゃん」
「えー、ニノは好きだけど、友達でいたいって言ってるじゃん」
「だよなー」
そしてこれが毎回お決まりのセリフ。
もう言いすぎて、大野は全然本気だと思ってくれてないんだろうな。
俺は毎回本気で、そして毎回大野のセリフで傷ついてるんだけどね。
でも、それももうあと少し……。
「ポチー、誰か良い子いないかなぁ」
大野が近くで尻尾を振っていた子犬を抱き上げながら話しかけるように言った。
大野のマンションでは豆柴に似た雑種の子犬を飼っている。
捨てられているのを俺が見つけて、放っておけずに、世話は俺がするから大野のマンションで飼ってほしいって頼み込んだんだ。
だって、俺のアパートはペット禁止だったから。
大野は快く子犬を引き受けてくれた。
名前の「ポチ」も大野がつけたものだった。
そして約束どおり、毎日俺はポチの世話のために大野のマンションに通ってる。
でも毎日顔を合わせてるわけではないんだ。
実際に大野と顔を合わせるのは、振られたって愚痴を聞いてから次の彼女が出来るまでの間だけ。
大野に彼女が出来たら、貰った合鍵を使って大野がマンションに居ない時間を狙って世話に来るようにしてる。
だって、うっかりラブなシーンなんて目撃したくないじゃない?
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