大宮妄想小説です

BL要素含みます

パラレルです







side N







智くんが俺をじっと見つめてるから、ガレット・デ・ロワの中から出てくるフェーブを隠す事も出来なくて。






「これがフェーブですか?」






俺のガレット・デ・ロワから出てきたフェーブを見て、智くんは目を輝かせた。






「うん、これがフェーブだよ。

俺、王様決定だね」






俺の方に入っていたフェーブは四葉のクローバーだった。

お風呂の事は気になるけど、でもやっぱりフェーブが入っていると嬉しいもので、顔が綻ぶ。


そんな俺に智くんが王冠を被せてくれた。






「和、可愛いですね」






甘く笑って俺の頬を撫でるから。

ドキドキしちゃってそれを誤魔化すように慌てて智くんも食べるように促した。






「智くんも早く食べてみてよ」






「ふふっ、はい」






フォークを使って綺麗に食べていく智くん。

智くん食べる時の所作も美しいんだよね。

思わず見惚れてしまう。






「ありました」







嬉しそうに俺を見た。

喜ぶ顔が見られて、やっぱり入ってる事を前もって言わなくて良かったって思った。






「はい、智くんも王冠」






「似合います?」






「うん、智くんも可愛い」






「そこは格好良いって言って欲しかったですね」






うん、こんな紙で出来た王冠ですら、智くんが被ると格好良く見えるんだけど、それは照れ臭くて言えなかった。


そんな俺に智くんはクスッと笑った。


何だか全てお見通しみたいな感じの笑みだけど、気のせいだよね。

気のせいだと思いたい。






「俺のフェーブは、和ですね」






「えっ、俺!?」







智くんの手には、白いうさぎのフェーブがのっていて。






「琥珀色の瞳の白うさぎなんて、絶対和でしょう?」






そして「和」って呼びかけながらフェーブを優しく撫でる智くんを見ると自分が撫でられているわけではないのに妙にドキドキしてしまう。

しかもそのフェーブにチュッとしているのを見たら、俺がボッとなってしまって困った。


そんな俺を智くんがクスクス笑って見てる。






「智くん……、俺を揶揄わないで」






「すみません、可愛くてつい」






さっきまでクスクス笑っていた智くんは、今は頬杖ついて甘い瞳で俺を見つめてる。






「和……、俺、王様になりましたよ?」






そう言って自分の唇に指でトントンと触れている。

そんな仕草にもドキドキして、俺ばっかり振り回されてる気がして。

だから、ちょっとだけやり返してみた。






「もう、キスはしたよ」






「えっ、してないですよ」






俺からのまさかの返答に智くんは少し驚いたみたいで。

内心クスッと笑いながら更に言った。






「したでしょう?覚えてないの?」






「してませんよ」






首を傾げる智くん。






「じゃあ、もう一回しよっか」






恥ずかしいから目を瞑っててと言って、俺は智くんに近づく。

そして……。

智くんのふっくらとした唇に、俺は―――――。




白いうさぎのフェーブをくっつけた。


感触に驚いたのか、智くんは目を見開いた。

そしてフェーブに気づいて少し拗ねた顔で俺を見る。






「や、確かに和って呼んでキスしましたけど……」






「この和で良いんでしょう?」






「いえ、俺は、こっちが良いんです。

むしろ、こっちじゃなきゃ嫌です」






そう言って俺の唇を指でなぞるから。






「仕方ないなぁ。

王様には逆らえないもんね」






そう言って、智くんの唇に自分のそれを素早く重ねた。







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