大宮妄想小説です

BL要素含みます

パラレルです








side O







朝食を食べ終えたら、和がガレット・デ・ロワを切り分けてくれることになった。


確かフェーブっていう小さい陶器の置物が入っていたら新しい年を幸運に過ごせるんだよな?


どこに入っているんだろうって見つめていたら、和が迷いなく二切れだけ切り分けて皿に取り、そのうちの一切れを俺にくれた。






「フェーブが入っていたら、新しい年も幸せになれるし、今日は王様にもなれるよ」






よくよく見たら、その切り分けた部分だけ、模様が少し違っていて。


ああ、そうか、フェーブの入ったところは模様を変えて分かりやすくしてくれているんだと気づいた。


それに王冠も2人分用意されている。


じゃあ、俺も和も王様になれるんだな。

和は王妃様って感じだけどな。

そう気づいたけど、気づかないフリをして和に訊ねた。






「俺が王様になったら、和は何をしてくれるんですか?」







確実に和がしてくれる事を答えてくれるはずだから。

答えが楽しみで和を見つめる。


和はちょっと慌てて、頭の中でぐるぐる考えているみたいだった。

それからおずおずと言った。






「うーん、どうしよっかなぁ。

キスする……とか?」






キス。

確かに照れ屋の和らしい答えだな。

俺としては、激しくて濃厚な事を言ってもらえたらもっと嬉しかったんだけどな。






「キス……、どうせならもっと激しい事でも良いんですけどね。

でも、楽しみですね」






それでも和からキスしてもらえるのはやっぱり楽しみで。

そんな気持ちで和を見たら、少し顔を赤くした。







「智くんは、俺が王様になったら何してくれるの?」






「うーん、そうですね……」






ここで悪戯心が湧いた。

和が物凄く恥ずかしがりそうな事を言ったら、どうするだろう?

受け入れてくれるのか、それとも絶対王様になれると種明かしをして回避するだろうか?






「和が王様になったら、お風呂で綺麗に隅々まで洗ってあげます」






そう言った途端に和はもう耳まで真っ赤で。






「えっ!?大丈夫よっ、一人で入れるからっ」







「そんなに慌ててどうしたんですか?

和が王様になったらですよね」






ニコッと笑ったら、和はどうしようかと考えているのかソワソワし始めた。






「ワクワクしますね」






王様になった後もワクワクするけれど、むしろ今は和がどう答えるのかワクワクしてしまって。


そんな俺を和はチラッと見た。

それから和は少し赤くなりながら言った。







「そうだね、俺が王様になるとも限らないからね。

王様になったらどうしようって、ちょっとドキドキしちゃうじゃない」







王様に絶対なれると種明かしをせずに、受け入れてくれた和。

それが嬉しくて、思わず抱き締めてしまったんだ。








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