大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
美味しいパンを食べる夢を見ていた。
焼きたての甘くて優しい香りで、ふわっと幸せな気持ちになる。
パクっと食べると……ん?サクッともふわっともしていないし柔らかくもない?
むしろ弾力が凄い。
何のパンだろうと首を傾げる。
でもやっぱり良い匂いで。
鼻を押し付けて匂いを嗅いで、再び唇でハムハムしていたら、間近でクスッと笑い声が聴こえた。
「俺を食べても美味しくないですよ」
その艶やかな声で一気に覚醒した。
そうだ、俺っ、智くんとっ!
チラッと横を見ると、智くんが凄い幸せそうに微笑んで俺を見てる。
智くんも俺も裸で、でも触れ合ってる身体はサラッとしていて、寝具も洗い立てみたいに爽やかで、智くんが綺麗にしてくれたのをうっすら覚えてはいた。
そして今、俺はしっかりと智くんに腕枕されてて。
俺が寝ぼけてハムハムしてたのは、智くんの腕だったんだ。
ヤバイ、恥ずかしすぎる。
ガバッと起きようとしたけど。
「いたたたたーっ」
腰が痛くて再び智くんの腕の中に沈む。
「すみません、ヤり過ぎてしまって……」
「俺初めてだったのに……」
恨みがましく智くんを見つめたら、「すみません」って眉下げて物凄く申し訳なさそうな顔をするから。
「良いよ、俺も……」
なんだかんだで気持ち良くて求めちゃって色々口走ってたし。
何て、自分でそれを思い出して真っ赤になってしまって。
それに気づいた智くんにまた「可愛い」って抱き締められた。
抱き締められた時に、また甘くて優しい香りが俺を包み込んで。
「あっ、焼きたてのパンみたいな優しい香りがする」
その匂いに引き寄せられるように胸元に擦り寄った。
ちょっと日に焼けた感じもパンの焼き上がりみたい、なんて呑気な事を考えていたら、智くんははぁっと溜め息をついた。
「ヤり過ぎたのは俺が確かに悪いんですけど、でも無自覚に煽る和も悪いんだと思います」
「和」呼びにドキッとしてしまう。
俺は、照れちゃって「智」って呼べる気がしない。
「ほら、またそんな可愛い顔して……」
横向きで向かい合って、俺の少し伸びた髪を耳にかけながらじっと見つめてくる智くん。
そんなに見つめられたら、カッと全身に血がのぼって、また熱くなってしまう。
「煽ってるんですか……?」
「違っ……」
そう言いかけた唇を、言わせないとばかりに智くんの唇で塞がれた。
手がゆっくりと俺の背中を撫で、唇は首筋を擽る。
「気づいてましたか?
和からも焼きたてのパンみたいな優しい香りがしてますよ」
そう言って首筋を喰まれて。
「もっと、同じ香りになりましょうか……」
また智くんから 官 能 的な香りが漂った。
その香りと雄々しく響く声音に、そして身体を優しく 撫 でる手に、俺は再び甘い世界に連れていかれたんだ。
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