大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side O
本当は、玄関に入って二人っきりになったらすぐに抱き締めたかった。
そしてすぐにでも和さんの全部を貰いたかったけれど、翔くんにも大人っぽくスマートにって念押しされた事を思い出して、玄関に入ってすぐはさすがにがっつき過ぎだよなと、理性で抑えた。
第一、和さんは朝から働いていて、疲れているだろうし。
相手を思いやらずにがっつくのは最低な奴がする事だ。
何て、少し格好つけてしまったんだ。
だから、今、2人で並んで夕飯を食べているんだけど……。
この状況は、もう、がっついても良いって事だよな。
と、自分を正当化した。
今日の夕飯は翔くんが卒業祝いだからと言って、豪華なデリバリーを頼んでくれた。
俺はまだ飲めないけど、和さんにって翔くんがお酒も準備してくれていて。
「智くん飲めないから、俺は良いよ」
って和さんは遠慮していたけど、せっかく翔くんが準備してくれたからって、少しだけ和さんは飲む事になったんだ。
「これ、お酒?何かジュースみたい」
とても飲みやすかったみたいで、気づくと結構減っていた。
ぽわんとした顔で俺に凭れ掛かってくる和さん。
少し赤くなった顔、唇も半開きで、潤んだ瞳でじーっと俺を見つめてくる。
これは、かなり煽情的だ。
視線にドキドキしてしまう。
「和さん、真っ赤ですけど、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫よ……」
そう言うと、和さんは俺の手に触れてきて、にぎにぎしたり、撫でたりしてきて。
しかも、しっかりと俺の目を見つめながらそんな事をしてくる。
これは……誘ってるよな?
「智くんの手、本当に綺麗で良いなぁ」
「和さん、酔ってます?」
「んーん、酔ってないよ」
コテンと俺の肩に頭を乗せて、ふぅっと息を漏らす。
その気怠げな感じが艶っぽくて。
いつもの爽やかで優しいパン屋さんのイメージとはギャップが激しくて。
それから和さんはちょっと思い出したように悪戯っぽく笑った。
「智くんのパンの捏ね方、ちょっとえっちぃよね」
「えっ!」
白くてモチモチで。
しっとりとして柔らかくて。
パン生地って和さんみたいだなって思っていたから、無意識にえっちぃ触り方をしていたんだろうかと驚く。
その後和さんは俺の胸元に顔を近づけて微笑んだ。
「ふふっ、智くん、パンの優しい香りがする」
そのまま俺の胸元にピッタリと身体を預けて擦り寄ってくる。
俺の理性はここまでだった。
「俺は、もっと和さんと同じ香りになりたいです」
そう言って和さんの口元のほくろをなぞると、和さんは俺の方を見た。
「うん、俺も、智くんと同じ香りになりたい……」
そう言って俺の首に腕を回してきたから、グッと腰を引き寄せて、そして唇に噛み付くようにキスをした。
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会報のにのちゃん、全部可愛過ぎてー