大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side O
俺に背を向けた二宮さんは、逃げるようにリビングのドアノブに手をかけた。
俺は逃さないように後ろから抱き締めた。
「俺、二宮さんの好きを信じても良いんですか?」
「好きな気持ちはずっと一緒だよ。
好きだから、利用されたと思って辛くて苦しくて、智くんを責めてしまって、本当にごめん」
「二宮さんは……、俺の好きを信じてくれるんですか?」
そう訊いたら声が震えてしまった。
また信じられないと言われたらと不安で堪らなかった。
そうしたら二宮さんが俺の腕の中で身体を反転させて俺を見つめてきた。
そして、俺の不安に気づいたようで、ぎゅっと強く俺を抱き締めてくれた。
その腕は慈愛に満ち溢れていて。
「智くんを信じてるよっ、これからもずっと智くんの好きを信じてるっ」
二宮さんの言葉が今度はすんなりと心の中へと沁み込んでいって渇きを潤してくれる。
そして喜びがまた見える景色に彩りを与えていく。
「俺も、自分の親の事、会社の事、きちんと話さなくてすみません。
競合店の社長の息子ではなく、二宮さんの前ではただの高校生でいたかったんです」
少し潤った心をまだまだ満たしたくて、二宮さんを更に強く抱き締めた。
そして、競合店の息子だって知られたら、二宮さんに警戒されてしまうと思っていた事を打ち明けた。
「あのね、もっと智くんの事、教えてくれる?
俺、智くんの全部を知りたい……」
少し吐息混じりの艶のある声でそう言われた。
「えっ?」
俺の全部って、どういう事?
そういう事で合ってる?
高校を卒業してからって約束していたけど、こんな誘うような艶っぽい声で言われたら、そりゃあ、今でも良いって思っちゃうけど、違う?
物凄い殺し文句に一瞬耳を疑って、二宮さんから身体を離してマジマジと見つめてしまう。
「えっ、俺、何か変な事言った?」
少しぽかんとした顔で俺を見る二宮さん。
ああ、これは、全然艶っぽい意味は無かったんだろうなってその顔を見て気づいたけど。
誤解される事を言う二宮さんが悪い。
「今、そんなセリフは、誤解されても文句は言えないですからね……」
「えっ、誤解って、え、ええっ……っ、んっ」
自分がどれ程無防備に俺を煽っているのか少しは思い知らせてやりたくて、ハテナ顔をしている二宮さんの唇を奪った。
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