大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side O
今まで彩りに満ちていた世界が、またどんどん色を失っていく。
目の前が真っ暗になったような気がした。
失ったものが大きくて感情がついていかない。
自分は今どんな顔をしているんだろうか。
「和さんも、やっぱりあいつと同じで、俺のこと信じてはくれないんですね」
そう言って俯いた。
ああ、そうだ、もう和さんとも呼べないな。
麻痺した頭でそんな事を考える。
「二宮さん、楽しかったです。
ありがとうございました」
和さんの顔を見るのは怖かった。
悲しみ?憎悪?蔑み?
でも一番怖いのは、なんの感情も抱いていない表情だった時だ。
俺を大好きだと言っていた顔だけを覚えていたくて、俯いたまま和さんの手を離して店から出た。
追ってきてくれるんじゃないかという淡い期待もすぐに砕け散って。
俺は、音も聴こえないモノクロの世界の中、ただ無気力に歩いた。
不思議な事に、そんな状態でも家には帰れているもので。
気づくとぼんやりとソファに座っていた。
愛し合っていたら大丈夫だって、何処かで楽観視していた自分がいた。
こんなに呆気なく壊れるなんてな……。
気持ちが通じ合った時に、話していたら良かったんだろうか?
それとも出逢ってすぐ?
そんな事を考えてしまうけど。
「ああ、でも、結局は二宮さんに信じてもらえていないんじゃ、いつ話しても俺は無理って事だよな」
ハハッて笑いが漏れた。
こんな時、不思議と笑ってしまうんだな。
そんな事を考えながら俯いたら何かが落ちてズボンにシミを作った。
どんどん出来ていくシミが自分の涙だと気づいた途端に、胸が苦しくて痛くて、嗚咽が止まらなくなったんだ。
こんなに泣いた事はきっと初めてで。
それからも気づくと泣いていて、しばらく学校に行けなくなった。
そんな時でも、雪かきをしていた頃と同じ時間に目が覚めてしまって、更に泣けたりもした。
涙がやっと枯れた頃に学校に行き始めたけれど、その日一日何をして過ごしたのか、全く記憶に残っていない程で。
食事を摂る事も忘れ、翔くんに激しく心配された。
でも、心配する翔くんの声も、ただ頭の中をすり抜けていくだけで、他に違うことばかり考えていた。
そう、いつも考えているのは二宮さんと最後に話した日の事で。
もっと早くに話せていたら良かったとか、いや、結局は信じてもらえなくて一緒だろっていう諦めとか。
信じられないと言われたのがショックですぐに逃げてしまったけれど、好きなら信じてもらえるまで頑張るべきだったんじゃないだろうか?とか。
いや、頑張っても無駄だろ、とか。
ずっと迷路に迷い込んだみたいに自分に問いかける日々だった。
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