大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side O
「これ、食べて」
二宮さんが焼き上がったばかりのパンと温かいスープを俺の前に置いてから、コーヒーを持って俺の対面に座った。
「お金払います」
パンは多分店に並ぶはずのものだから、俺は慌てて財布を探した。
「あっ……」
今俺が着ているものは二宮さんから借りた服で、学校鞄も全て二宮さんの家に置いてきている事に気づいた。
「あのっ、後からでも良いですか?」
「お金要らないよ、雪かき手伝ってくれたお礼」
「いえっ、ダメです。
俺、明日からも雪かき手伝いたいんです。
だから、こんなことされたら……っ」
「遠慮しちゃって手伝えなくなっちゃう?
もう、子供なんだから、素直に甘えて食べたら良いのに」
そう、これが当たり前になったら、また気を使わせてしまうと思うと手伝いづらくなってしまう。
それに、子供なんだからと言われたら余計に受け入れ難い。
「二宮さん、さっきも言いましたが子供扱いやめてください」
「ごめん……、気をつける」
申し訳なさそうに言った二宮さん。
俺も熱くなってしまって、語気が荒くなってしまった。
こういうところが子供っぽいんだろう。
「いえ、俺もすみません」
そのままパンに手をつけずに座っていると、二宮さんは何か考え込むように黙ってしまった。
「それなら、もう、雪かきなんて手伝わなくて良いから」って言われたらどうしようか。
素直にパンを受け取るべきだっただろうかと迷い始めた頃に、二宮さんが口を開いた。
「このパンね、まだ売りには出さないんだ。
試作品だから、食べて感想聞かせてくれない?」
「えっ……?」
「これからもさ、智くんの時間のある時で良いからさ、試作品食べて感想聞かせて?
俺の新しいパン作りに協力してほしいんだ」
これは、雪かきに来ても良いって事だし、誰よりも早く二宮さんの新作のパンを食べられるって事だよな?
予想外の嬉しい提案に、俺は喜びで笑みを抑えられずに思い切り頷いたんだ。
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