大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
今日は閉店間際にスーツ姿の男性が現れた。
初めて見る顔で、顔が小さくて整っていて、スラッと足が長い綺麗な男性だった。
その男性はパンを買ってから名刺を差し出してきた。
「私、『Tendre』の櫻井翔と申します」
『Tendre』は有名パン屋さんで、フランチャイズなどで全国展開も行っているパン屋さんだった。
そこの社員の人が何故?って首を傾げていたら、閉店後に父さんと話をしたいという。
ほぼほぼ智くんの専用スペースになっていたから、あまり他の人は入れたくなかったけど、仕方ないのでイートインスペースで待ってもらう事にした。
コーヒーを出すと、先程自分で買ったパンを食べて良いかと確認されたから、頷いておいた。
パンを口いっぱいに頬張る姿はリスみたいに可愛らしくて。
思わずクスッと笑ってしまう。
「あ、すみません、美味しそうに食べるなぁって思って」
「あ、美味しくてつい夢中になってしまいました」
にこやかな様子に警戒心は飛んだんだけど、それは間違いだったと後から気づいた。
だってさ、言われた内容は、うちの店を『Tendre』のフランチャイズ店にしたいっていうような内容だったんだ。
それって、『Tendre』のパンを作れって事だよね?
父さんも考える事もなく、すぐに断った。
「うちは、自分達の作るパンに誇りをもってますので、遠慮させていただきます」
櫻井さんはその答えを予期していたように、あっさりと頷き、もし気が変わったらと名刺だけ置いてすぐに立ち去ったんだ。
あっさり過ぎて、何だか怖いぐらいで。
でもそのあとすぐに噂が流れ始めたんだ。
読んだ後に良いねいただけたら大変励みになります
パン業界には詳しくないので、こんな事あると思って読んでいただけたら