お先にこちらから☆彡
大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
《side N》
「次期社長って、どんな人なんですかね」
「仕事出来そうな人ですよね」
出社してからずっと周りがこんな感じで騒ついている。
人事整理がとても効果的だったから、次期社長への印象は皆んな良いようで、否定的な声は無く既に受け入れられているように感じる。
ホントに良い社長だからね。
なんて少しの優越感に浸りながら、自分がするわけでもないのに就任挨拶の時間が近づくと仕事が手につかないぐらい緊張してきて。
大野さん、大丈夫かな……。
就任挨拶が例え失敗したとしてもご褒美はあげようなんて、大会議室に移動して待ってる間に考えていた。
だってさ、こんな人数の前で話すだけでも凄い事だもん。
で、とうとう大会議室の扉が開いた。
しん、と静まり返る室内。
でも俺は驚いて危うく大声を上げるところだった。
現社長の隣に並んでるのは……、大野さんなの?!
入ってきてすぐは大野さんだって気づかなくて、大野さん何処かなぁってキョロキョロしちゃってたぐらい。
スーツを格好良く着こなし、普段猫背なはずなのにキリッと立っているからか、スタイルの良さが際立っていた。
そして、清潔感のある爽やかな髪型になり、もふもふの髭が無くなった大野さんはとても若々しくて整った顔を惜しげもなく晒していた。
全然知っている大野さんと違いすぎて、ただ、見慣れている通った鼻筋と美しい形の唇があれは確かに大野さんだと証明していた。
それに、マジマジと見つめていたら、俺の方を見て微笑んでくれて。
あの目尻が下がる感じ。
やっぱり、大野さんなんだって、やっと信じる事が出来た。
挨拶も大野さんらしくて、権力に驕らず謙虚で、そして会社を盛り上げていきたいという気持ちが真摯に伝わってくる内容だった。
誰もが、風通しの良い会社になるんじゃないかって期待しただろうし、会社の未来にたくさんの可能性を感じたんだと思う。
だから一斉に歓迎の大きな拍手が上がった。
挨拶が終わって各部署に戻ってきても、周りはやっぱり騒がしかった。
男性社員達は新しい企画の話で盛り上がっていて、とても良い傾向だったんだけど。
女性社員達がなぁ……。
すっかり女性社員の憧れの的になってしまった大野さん。
いや、格好良いのが悪いってわけじゃないんだけどさ……、ただ、格好良くなりすぎちゃって、心配の種になってしまった。
それに、俺の凄い好きな顔過ぎて、真正面から見つめる自信が全くない。
俺、絶対に平静でいられないんだけど。
ご褒美なんて、心臓壊れちゃうから無理なんじゃ。
そんな事を悶々と考えながら仕事をしているうちにあっという間に終業時間になってしまった。
とりあえず、就任おめでとうのご馳走を作ってあげたくて、俺は急いで帰路についた。
次は、はなちゃんち11時26分