大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
「なぁ、ニノ……。俺はニノとの事だけ知りてぇ」
そう言って俺の手を強く握る智。
俺を見つめる瞳は熱を帯びていて。
「俺との事って……ちょっ、どうしたんだよ」
手を振り解こうとすると、指を絡ませて余計に強く握られた。
「なぁ、俺はニノを和って呼んでたんだろ?それって俺がお前の特別だったって事だよな?」
「違っ」
「俺は、アマネとの婚約は破棄する。俺が好きなのは、和だ……」
驚いた。
でも何より嬉しくて、今にも涙が溢れそうだった。
だってさ、智に好きなんて初めて言われた。
付き合いはじめても、智が俺の事、好きなんて言ってくれたこと無かったから。
でもさ、付き合っている時、俺たちは上手くいってた?
上手くいってなかったから、智はアマネさんと婚約を決めたんじゃないの?
智が記憶を失ってからは、付き合う前みたいにただの幼馴染として接してきた。
まあ、片想いの幼馴染だけどね。
今思うと俺は、智と恋人になってからは幼馴染として智に接する事が出来なくなった。
表面上は今までどおりの幼馴染の仮面を被っていたけど、内面は嫉妬や束縛したい気持ちで一人ドロドロした心に支配されていた。
そんな俺の内面に全く気づかない智に勝手にイライラして……。
だから変に意地を張って可愛くないことばかり言って智に八つ当たりしてたんだ。
だからさ、智は今は俺の良い部分しか知らないんだ。
「それは勘違いだよ……、智は俺との記憶が無いから幼馴染の距離感が気楽で心地いいだけだよ。記憶が戻ったら、きっと俺の事、大嫌いだと思うよ」
「んなわけ無ぇ、会えた日も会えなかった日もずっと和の事考えて過ごしてた。……好きだ」
近づいてくる端正な顔。
このまま流されたい。
でも……、記憶が戻った時にやっぱり無しにしたいって言われる可能性だってある。
いつ発動するか分からない時限爆弾を抱えて付き合っていくのは怖いんだ。
「やだっ、智っ」
肩を押して逃れようとする。
でも智はびくともしなくて、反対にラグに押し倒された。
読んだ後に良いねいただけたら大変励みになります