大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
驚いた。
母が泣いているところなんて初めて見たかもしれない。
どんな時も明るく前向きで笑い飛ばすような母だったから。
智さんも気づいて息を呑んだ。
俺たちが泣かせているのかもしれないって思うと、ただただ申し訳なかった。
でも、智さんと離れるなんて考えられないから。
「母さん、ごめん……、でも、俺、智さんとは離れられない」
「本当にすみません、でも、俺も和也さんとは離れられません」
そう言ったら、母は更に号泣した。
どうしようかと途方に暮れかけた時、父がのんびりとした口調で言った。
「こらこら、母さん、変に誤解されるからもう泣くのはやめなさい」
「だって、嬉しくてっ、あの無気力で投げやりだった和くんが、こんなはっきりと自分の気持ちを伝えてくれて……。ずっと和くんの幸せはどこにあるのかしらって心配してたから」
本当に良かったと言いながら泣き続ける母。
そして泣きながら、ぎゅっと智さんの手を握った。
「大野さん、和くんを、変えてくれてありがとうございます。
これからも和くんをよろしくお願いします」
「私からも、お願いします」
父も智さんの肩に手を載せてそう言った。
「はい、必ず、和也さんを幸せにします」
智さんも力強く頷いてくれた。
「はい、おめでとうーっ、堅苦しいのは終了して、お祝いしましょう」
そう大きい声で姉が言って、立ち上がるとキッチンから料理を運んでくる。
たくさんのご馳走に驚く。
父と母も立ち上がり、父は多分お酒をとりにリビングから出ていった。
「朝、電話来てから慌てて和乃と作ったのよ、お赤飯は無いんだけど」
「ちょっ、それは要らないからっ」
ヤッた事が家族にバレバレで、それをお祝いとか辱めでしかない。
真っ赤になったであろう俺に姉が近づいてきて、こそっと囁いた。
「あれ、役に立ったでしょう?」
「なっ!」
更に真っ赤になった俺。
その横で智さんは普通に俺の耳に触りながら、平然と微笑んで姉に御礼を言った。
「とても役に立ちました、ありがとうございます」
「ちょっ!」
2人して俺の反応をみて笑ってる。
「もう知らない!」
2人に背を向けたところで、すぐに後ろから智さんに腰を抱かれ、耳元で囁かれた。
「悪りぃ、可愛くてつい」
智さんの申し訳なさそうな顔に弱い俺は、すぐに許してしまうんだよね。
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