大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
やっぱり挨拶だから正装で行こうって智さんが言うから、俺は智さんからスーツやワイシャツを借りた。
本当に智さんの中ではしっかりとした結婚挨拶という考えになっているみたいで、それが手土産とか正装でっていうところにあらわれていて、何だか嬉しくて少し擽ったい気持ち。
と同時に、自分の家に帰るのに少し緊張してきた。
「和、どうした?」
「ん、何か緊張してきた」
そう言って智さんを見ると、智さんはふふって笑った。
「俺もすげー緊張してる」
「えっ、緊張してるように見えない」
いつもどおりの智さんに見えるけど……?
じーっと見てると、クシャッと頭を撫でられた。
そしてそのままその手で胸元に引き寄せられる。
胸元に耳を当てると、いつも優しい速度でトクントクンと音を鳴らしているそこが、今日はちょっと速く音を鳴らしていた。
「本当だ、ちょっと速い」
一緒に緊張してるって思うと、何だか少し気持ちが落ち着いてきた。
「智さんと一緒だったら緊張も少し和らぐかも」
ぎゅっと智さんの腰に抱き着きながら言うと、智さんも俺の頭を撫でながら言ってくれた。
「和と一緒だったら俺も気持ちが落ち着くな」
うん、智さんとだったら本当に心強くて、安心できるんだ。
そしてとうとう俺の家の前。
2人顔を見合わせて、深呼吸する。
ぎゅっと一度手を強く握り合って、そして玄関のドアを開けた。
「ただいま」
玄関に入ると、母と姉が走ってきた。
「和くん、怪我はない?」
「和っ、大丈夫だった?」
「ん、大丈夫だよ、助けてもらったし」
そう言って智さんを見て微笑むと、母と姉は固まった。
そして2人してコソコソ話し出した。
「ちょっと、和乃っ、やっぱりお赤飯必要だったんじゃ……」
「えっ、でもこういう時ってお赤飯でお祝いするもん?私の時はそんなのしてないよ」
「だって、和乃の時は気づかなかったし……」
「和みたいに色気ダダ漏れしてなかったって事?え、何か悔しい……」
何だか母と姉には、昨日俺と智さんにナニがあったか気づかれたみたいで。
えっ、何で?
完全盛り上がっちゃってる2人。
いつまでも続きそうな恥ずかしい会話にピリオドを打ったのは父だった。
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