大宮妄想小説です

BL要素含みます

パラレルです







side O







和は怪我は無いと言っていたけど、拘束されていた手が擦れて赤くなって血が滲んでいた。


その手当てをしてもらった後に、俺と和は警察車両に乗せてもらって帰る事になった。


その間に調書を取り、足りない場合は後日また協力をお願いしますと言われた。


そして、途中の車内で、村瀬が一命を取りとめた事を聞いた。





「助かって良かったですね」






「そうだな」






あんな奴だけど、助かって良かったって心底思った。



俺のマンションに着いて車からおりると、和も一緒におりた。





「和?」






「今日、泊めてください」






和にしては珍しく有無を言わさない雰囲気で、俺の腕を引いてマンションの中に入っていく。





「でも、家族がきっと心配してる」





「家族には、連絡するから大丈夫です」





「和……」





玄関を開けて部屋に入ると、和に頬を両手でパチンと挟まれる。





「智さん、今、何考えてます?そんなに俺を帰したい?」





帰したいわけではない。

むしろずっと一緒にいて抱き締めて和の無事を確認していたい。


ただ、和を危ない目に遭わせたのは俺のせいだと思うと、和の傍にいる資格が無いような気がして。


そんな俺の気持ちを見抜いているのか、和は怒ったように言った。





「智さんはまた、一人で勝手に背負い込む。

俺が攫われたのは智さんのせいじゃない、俺の不注意だ」





「違う、和のせいじゃない、俺が和から目を離したから」





「そうだよ、俺のせいじゃない。でもさ、だからといって智さんのせいでもないだろ?悪いのは村瀬だけだろ?

そんなの誰だって分かるぐらい確かな事なのに、そうやって自分を悪くして責任を感じて、責めて……」





そこまで言うと、和は優しく目を細めて続けた。





「智さん、俺はね、悪い事を考える奴がいる限り、ずっと一緒に居て、ずっと目を光らせていても隙をぬってこういう事は起こるんだと思う。

まあ、こんな事はもう滅多にないとは思うけどさ。

それが、例え未然に防げなくても今回みたいにすぐに気づける位置に智さんに居てほしい。

俺だって、智さんに何かあったらすぐに気づける位置にいたい」





だから傍に居てって俺の手を握る。


自分のせいでって思うばかりに、俺は大切な事を見失うところだった。





「そ、だな。俺も和に何かあったらすぐに気づける位置にいたい。傍にいて次こそ絶対和を守る」





「ふふっ、絶対守ってくださいね」





そう言って笑う和を強く抱き締めた。







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