大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
智と母さんが部屋から出て行った。
母さんがどうして智と?
考えても全然思い当たる節がない。
首を傾げながらも荷造りを完了させ、忘れ物がないか確認する。
しばらくすると再びドアがノックされた。
智が帰ってきたかなとそちらに顔を向けると。
「美和……」
ドアを開けて立っていたのは美和で……。
「兄さん……、ごめんなさい……」
手に何か持って謝罪する。
「美和?」
多分物凄い訝しげな顔をしていたんだと思う。
美和は深刻そうな顔から一転笑いだした。
「なんてね、やっぱり謝らないわ。私だって苦しんだし……でも、ありがとうだけ言っておくわ」
母さんと向き合って本心で話し合うきっかけをくれてありがとうって、そこは真面目な顔をして美和は言った。
謝らないってはっきり言っちゃうのは可愛くないんだけどさ、前までの攻撃的で、兄だなんて認めないんだからっていう雰囲気は消えているから何か憎めないし、まあ良いかって思ってしまう。
「ふふっ、俺には謝らなくて良いけどさ、智には謝れよ」
「あー、それは今からする事で許してもらう事にするわ」
美和はそう言って手に持っていた何かを広げはじめた。
「美和、これ、何?」
「まあ、とりあえず座ってよ、あ、座ったらダメだわ、黙って立っててよ」
「ちょっ、何すんだよ」
「ぎゃーぎゃー言わないで、さっさと脱ぐ」
「脱ぐって、ちょっ、美和っ」
「うっさいわね、兄さん、早くしてよっ」
容赦なく服を剥いでいく美和。
「お前はちょっと恥じらいを持てよっ」
そう抗議したら、もうキッと睨まれ、物凄い力で服を剥いでいった。
「これ、苦しいんだけど……」
訳が分からないし、智も帰ってこないし、一体何なんだよ?
「黙って。もう座って良いから、あとは目瞑って静かにしてて」
ファンデとか全然要らないじゃない……
キメの細かさが異常だわ……
なんて、ぶつぶつ言いながら。
「さっ、出来たから行こう」
何がどうなったか、自分では全く確認がとれない状態で部屋を連れ出される。
「えっ、何処に?チェックアウトは?荷物は?」
「荷物は後から運ばせる、あ、カメラは持っていこうか」
美和はそう言って俺を通路に立たせたまま部屋に戻っていった。
「ママー、綺麗なお雛様がいるー」
小さい女の子が俺の方を指差して言っている。
お雛様なんて居るのか?って後ろを振り返ったけど、誰も居なくて。
「お雛様っ」
走ってきた子がぎゅっと俺の足に抱きついた。
えっ、お雛様って俺?
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