大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
熱が出ると心が弱くなるのかもしれない。
智さんが泊まってくれると聞いた時、嬉しくて知らず笑顔になってた。
智さんが居るとドキドキするけど、安心するし落ち着く。
あー、俺、ホント好きすぎでしょう。
なんて考えていたら、智さんが突然。
「はい、和、あーんっ」
ってお粥を俺の口元に。
「えっ?!」
驚いて固まっていると、あっ、そうかって思い出したように、お粥をふーふー息をかけて冷ましてる。
「ほら、あーんっ」
で、再度口元へ。
反射的に口を開けて、パクッと食べてしまった。
嬉しそうな智さんが、再度ふーふーして冷ましてる。
「あの、俺自分で食べられるんで、智さんも冷めないうちに食べてくださいよ」
起き上がれない程具合が悪いわけでもないし、自分で食べられる。
さっきは思わず食べてしまったけど、何だか急に恥ずかしくなってきた。
火照る顔をパタパタ手で扇ぐ。
「そうか?じゃあ、とりあえずこれだけ」
そう言って、冷ましていた一口を差し出してくる。
口を開けると優しくスプーンが入ってきた。
気づくと智さんはその様子をじっと見ていて。
「……智さん、どうかしました?」
「ん?美味そうだなと思って」
「普通のお粥ですよ?」
そんなに美味しそうに見えたんだろうかと首を傾げる。
「んー、ふふっ、和の唇が赤くて美味そう」
そう言った智さんに親指で下唇を撫でられて、ドキンッて心臓が跳ねる。
「食いてぇな……」
艶っぽい瞳で声は本気の響き。
思い切り流されそうになるけど、ダメだ。
「もう……、治ったらって言いましたよ……」
「だよな……」
名残惜しそうに唇を撫でてから離れていく指。
俺もきっと名残惜しそうに見ていたと思う。
早く風邪を治したいなって心から思った。
お粥を食べ終えると、智さんが薬と水をくれた。
食器も片付けてくれて、欲しいものは何かないか、色々世話を焼いてくれる。
「あっ、智さん、着替えっ!あっ、お風呂は?」
ずっとスーツだったのに、気づかなくてすみませんって謝って、自分のスウェット上下と、新しい下着を出して渡す。
「お風呂、こっちです」
「ん、サンキュ」
脱衣所でバスタオルとタオルを出して振り返ると智さんが既にワイシャツを脱ぎ捨てていて。
引き締まった上半身が露わになっていた。
見惚れて固まった俺を首を傾げて見てる。
「はいっ、タオル、使ってください」
慌ててタオルを押し付け、逃げるように脱衣所から出た。
あんな良い身体、惜しげもなく晒して反則だっての。
でもさ、ただの友達だったら全然慌てないんだけど、智さんには物凄く反応して欲情しちゃうんだよ。
そんな自分に戸惑うけど、これはきっと好きって気持ちがあるからなんだろうな。
「あれ?和、また熱上がったんじゃない?真っ赤だけど」
通りかかった姉にそう言われた。
「えっ、そうかな?もう寝るわ」
ただ、恋人のステキな身体に欲情してるだけですなんて言えるわけもなく、俺は部屋へと逃げ込んだのだった。
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