大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side O
抱き締めた身体がとても熱い事に気づいた。
「和、もう休もう」
「ん……」
そのままベッドに横たえる。
何か冷やす物を借りに行こうと立ち上がると、和の手が俺のスーツの裾を握りしめていて。
行かないでって声にはしないけど、その手が言っているようだ。
可愛くて愛しくて堪らない気持ちになる。
「和、すぐに戻ってくるから」
「本当ですか?」
うるうるの上目遣いで俺を見てる。
こんな可愛い子を放っておける訳がない。
離した手にチュッと唇を付けると、俺は部屋から出た。
出てすぐに和乃さんが居たので、冷やせる物やタオルなど色々借りたいと伝えた。
「智さん、もし迷惑じゃなかったら今日泊まっていきませんか?」
「えっ、良いんですか?むしろ迷惑かかりませんか?」
和が一人暮らしなら間違いなく離れず看病したのにと思っていたところに、和乃さんの有難い申し出だった。
「迷惑なんて全然。むしろ看病押し付けちゃうみたいでこっちが申し訳ないんだけど。
和は辛くても強がっちゃって辛いって素直に言わないんですけど、多分智さんには甘えられると思うんで」
先程の、スーツの裾を握りしめる和を思い出す。
あんな風に甘えられたら、ずっと離れずに護りたくなる。
「それに、母がもう喜んじゃって智さんの分のご飯とか布団とか用意しちゃってるんで」
笑って階下を指差す。
確かに下からは調理する音に混ざって鼻歌が聴こえてきた。
可愛らしいお母さんだ。
「じゃあお言葉に甘えさせていただきます」
「じゃあ、布団とか運ぶの手伝ってくれます?」
和乃さんと一階におりる。
「母さん、智さん泊まっていけるって」
「本当ですか?ありがとうございますーっ」
俺の手を握ってぶんぶん音が鳴るんじゃないかってぐらい振る。
「あ、いえ、突然お邪魔してすみません」
「ずっと会いたかったのに、和くん全然連れてきてくれないんだもん。
もう、いつでも来てくださいね」
お母さんは、俺たちの関係を知っているのだろうか?
和はきっと話してないだろうけど。
チラッと和乃さんを見ると、ふふって笑って頷いた。
驚いてお母さんを見ると、同じくふふって笑ってた。
「和くんの事、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
「2人の事は、落ち着いたらゆっくり聞かせてね」
「はい」
お母さんの出す穏やかで温かい雰囲気に、俺も自然と笑顔になる。
和が良くなったら、きちんと話して挨拶しようと思った。
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