大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです





side O







「あっ、そういえば翔くんに電話しないと」




少し遅れて出社するとは言っていたけど。
ここまで遅いとは思っていないだろう。




「あ、雅紀くんに寝過ごして降りられなかったって途中でメールしました」




「和さん、途中で起きたの?」




「すみません、メールして安心したら私もまた睡魔に襲われてしまって」



失敗しましたと両手を合わせて謝る和さんに、それは俺も寝てたから全然謝らなくて良いよと言う。

和さんも眠たかったんだなと思い、休む事を伝えようと翔くんに電話する。




「翔くん、俺」



「あ、智くん、よく眠れた?」



何故か嬉しそうな翔くんの声。



「ん、悪りぃ、結構遠くまで来ちゃったから、今日は2人で休むね」



「了解、結構遠くまでって事は、結構寝られたんだね。良かったよ。

智くん、ずっと眠れてなかったんだよね?」



「翔くん、気づいてたの……?」



「いや、むしろ気づかないと思ってた?」




俺が話すのを待っててくれたけど、なかなか俺も話さなかったし、そろそろ自分から話をしようと思っていてくれたみたい。



「でも、寝坊した上に、電車降り過ごすぐらい眠れたって事は……、あー、和乃さんに先越されたかー」



大袈裟に悔しがる翔くんに思わず笑ってしまった。



「翔くんありがと」



「それは和乃さんに言ってあげて、智くんをもっと寝かせてあげたいからって、途中起こさないでいてくれたんだから」



「えっ?!」




電話口で思わず大きな声を出してしまい、和さんが驚いて俺を見た。
手振りで大丈夫と言って、翔くんの声に耳を傾ける。




「本当だったら、2人でもう出社してたはずなんだからね」



「そうだったんだ……」




さりげない優しさと、それを自分の失敗にして謝る気遣いに触れて、また惹かれていく。
本人全く自覚はないだろうけど、この子は俺をどこまで落とす気なのか……。




「明日は休みだし、今日は2人とも思い切り羽を伸ばして、来週からの仕事の糧にしてください。
これはチーム統括の命令です」




急に真面目な声で翔くんが言うから笑ってしまった。



「了解しました。
統括の命令には逆らえませんから」



俺も真面目な声で返すと、翔くんが吹き出した。



「冗談はさておき、本当に2人ともずっと休んでないから、ゆっくりして」



「ん、翔くんありがとう、じゃあ」



電話を切ると、心配そうな顔をした和さんと目が合った。



「休んでも大丈夫ですか?」



「ん、今日はゆっくり休んで、来週から頑張ってだって」




「良かった」





「和さん、ありがとね」




何の事か分からないといった感じで首を傾げる和さん。



「俺の事、休ませてくれたんだよね」



「あ、いえっ」



ちょっと気まずそうに瞳を揺らす和さん。
あまり畏まってお礼を言うと、恐縮してしまうので、続けてあえて軽い口調で言った。



「寝不足も解消して元気だし、もっと最高な事に和さんと海でデートできるし」



「もうっ、バカッ」



ふふっと笑った和さんに
可愛くて優しい猫パンチを食らった(笑)









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