大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side O
何だか凄く心地いい。
こんなに穏やかな気持ちになれたのは久しぶりだ。
枕も温かくて、ずっと寝ていたい。
枕……?
ハッと目を開ける。
白い喉元と、シャープな顎のラインが目に入った。
綺麗だなとしばらく見惚れる。
「あっ、お兄さん、大丈夫ですか?」
目を開けた俺に気づいたのか、彼は心配そうに訊ねてくる。
「んっ、大丈夫」
目が回る感覚もなくなり、頭もスッキリしてる。
「顔色も良くなりましたね、良かったー」
心底安心したように微笑んでくれた。
薄茶色の綺麗な瞳がキラキラ輝いて、とても可愛いのに、顎の黒子が白い肌に映えて何だかエロい子だなと思う。
そのギャップみたいな、アンバランスさが何だか堪らない。
「何か、綺麗だな……」
思わず呟いて、下から手を伸ばして衝動のままに彼の顔に触れる。
顎のラインをなぞり、黒子に触れる。
びっくりしたように目を見開いて、そして一気に顔とか耳とか真っ赤に染めた彼。
俺も自分の行動にびっくりしちゃって固まる。
いや、これじゃあ俺、絶対変な奴じゃん?
「あっ、ごめん」
慌てて手を引っ込める。
「あっ、いえ……」
何だか気まずい感じになって、俺は起き上がる。
そこに電車が来た。
男の子は慌てたように鞄を持つと、
「あのっ、俺この電車なんでっ」
ペコリと頭を下げると、男の子は逃げるように電車に滑り込んでいった。
「あっ、待って、名前っ」
まともに御礼を言ってない事に気づき、引き止めるように手を伸ばす。
けれど無情にも扉は閉まった。
中で男の子が再びペコリと頭を下げていた。
まだ顔が真っ赤だ。
動き出す電車。
「やべぇ、俺完全不審者じゃん」
名前も聞けなかったし、御礼も言ってない。
ここで俺にずっと寄り添ってくれていたのに。
しかも、降りた駅なのにまた来た方向の電車に乗っていってしまった。
俺がびっくりさせたせいだろうか……。
自分の行動に反省しながら、立ち上がる。
とりあえず会社に向かおう。
「また、会えるかな……?」
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今回みたいに突然智くんsideが混ざってくる書き方をしてます
場面が戻ったりして読みづらかったらすみません