大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
まーくんとエントランスに入る。
まーくんは小声で、社内の事を教えてくれる。
吹き抜けでガラス張りのエントランスは、とても明るく、心地よい。
まーくんの説明を聞きながら、あまりキョロキョロしないように、ゆっくりと会社内を眺める。
やっぱり社内の事ぐらい知ってないと怪しすぎるから。
その時、横を通り過ぎて行った男の人から、ふわっ香る良い匂い。
香水……?でも、何だか甘くて赤ちゃんみたいな優しい匂い。
何か知ってる、この匂い。
ドキドキして振り返る。
後ろ姿を目で追いかけていると、くるっとその人が振り返ったので、慌ててまーくんの陰に隠れる。
顔は一瞬しか見えなかったけど、絶対あの人だっ。
もう半年ぐらい経ってるし、ちょっと助けたぐらいだし。
だから俺の事、覚えてないかもしれないけど、覚えてたらヤバイ!
俺はちょっと青褪めた。
「和ちゃん、どうかした?大丈夫?」
「雅紀くん、今の人誰?」
「あれぇ?会社で見た事ない人だなぁ」
顔の広いまーくんが知らない人なら、ここの会社の人ではないのかも。
少しホッとした。
もう会わないかもしれないけど、
でも、とりあえず、用心のため俺はマスクをして伊達眼鏡をかけた。
「和ちゃん知ってる人だったの?」
「多分……知ってるっていうか、一回しか会った事ないから大丈夫だとは思うけど一応ね」
「あ、もう居ないから大丈夫じゃない?」
周りを見てもあの人はもう居なかった。
会社にカフェが併設されてるから、そこに来ただけだったのかもしれない。
ホッと息をつく。
安心したけど、少し残念でもあった。
また会えたら、あの人ともう一度話してみたいと思っていたから。
こんな格好していなかったら話しかけられたのにな。
俺は出会った日の事を思い出していた。
短くてすみません