大宮妄想小説です
BL要素含みます。
パラレルです。
『和…?お願いがあるんだけど』
久しぶりにスマホから聴こえてきた愛しい人の声。
最後に話したのはいつだったか…
切なくて嬉しくて、震えそうになる声。
気持ちを悟られないように、あえて明るく大きな声を出す。
『大野さん、お久しぶりです。元気でしたか?』
優しくて、大好きな大学の先輩。
入学してすぐに知り合い、そして惹かれ。
同じサークルで楽しく過ごした一年。
最後に会ったのは二年になったばかりの春。
窓から差し込む陽に誘われてサークルの部室でうたた寝をしていると、優しい手が柔らかく頭を撫でる感触。
温かくて気持ち良くて幸せな気持ちで目を開けた。
目の前にいたのは、やっぱり大野さんで。
『ふふ、大野さんの手、温かいや…』
大野さんへの気持ちがもう、好きや尊敬を超えて、恋愛感情だって気づいていた俺は、
寝起きで色々誤魔化せなかったのかな…。
好きって気持ち全開で見つめてしまったのかもしれない。
視線が絡み合う。
何故だか目を逸らせず、見つめ合ったのは一瞬だったのか、それとも…。
強い風が吹き、窓から風に乗って桜が舞い込む。
舞い落ちる花びらが床に落ちると、
『わりぃ…』
何だか複雑な表情をした大野さんは、慌てて顔を背け、部室から去ってしまった。
その日から、大学やサークルにも顔を出さなくなった大野さんは、激しく女遊びするようになった…
と噂で聞いた。