十月下旬ということもあり

心配して厚手のコートを着てきたが、
手荷物になってしまった。
 
いや、
いつかは必要になるとはおもうが、
到着した今日は必要なかった。
 
お氣に入りのデニム生地の
ハーフトレンチコートは
身体馴染みが良くて、
キルトの裏地が取り外し可能だから
長旅には最適だろうと、
日本から着て来た。
 
背中のリュックを下ろしてそれを脱ぎ、
旅行トランクの持ち手のところに引っかける。
 
 
 
路線バスの駅から海岸沿いを目指し歩いてきた。
大西洋に突き出た半島になっているから、
もし迷っても赴きのある建物と建物の間の名前はまだわからない
カジェ《通り》を
抜ければ必ず海へと抜けれるだろうと、
 
 
程よく重いトランクを
コロコロころがしながら
歩いてきた。
 
 
 
不揃いな石畳のカジェだから
今回の旅の為に購入したトランクの駒の部分は
傷だらけだろうとおもった。
 
 
 
 
海岸沿いの遊歩道に出た瞬間、
澄みきった空の青さと海の青さに包まれた。
秋の終わりのカディスの潮風を
生まれて初めて皮膚で感じる。 
 
 
 遊歩道には腰の高さぐらいまでの防波堤があり、 
よっこらしょっと腰かけ、
リュックから取り出した
ウォークマンのスイッチを
入れる。

 

 

トランクを歩いてころがして来たせいか
汗ばんでいた身体が潮風のシャワーを受け心地好い。
 
 

大西洋から打ち寄せてくる波は

テトラポットに優しくぶつかり

透明になって弾け飛び、その横で

野良猫たちが日向ぼっこしている。

 

 

 

Rafael Riqueniが奏でるフラメンコギターは

日本から持ってきたCDなのに

なんだかカディスで聴くと

 不思議な郷愁感でもって

本場で踊りを

勉強するわたしに寄り添ってくれている。

 

ボリュームを

少し上げてみた。

 

喜びという意味を持つフラメンコの中でも

大好きな楽曲、

 

Alegrias。

 

アレグリアスはCádiz が発祥の地と言われているから

どうしても来てみたかった場所。

 

 

ずっと憧れていた場所に来たという喜びと、

ずっと憧れていた場所に来てしまったという不安も

両方をしっかりトランクと一緒に詰め込んで来たのかと

 

 

スペイン最南端

アンダルシア地方、

カディスの海岸沿いの遊歩道、

ひとりで味わう。

 

 

 

『ここまでよく来たなあ。。。。』

 

 

生まれて初めての一人旅。

 

 

物理的にわたしがここまで来られたのは

地元、

栃木の片田舎から

バスど電車を乗り継ぎ、

成田空港行へ。

 

 

成田から

フランス・シャルルドゴール空港、

そこからヨーロッパ線に乗り換えて、

スペイン・バラハス空港まで。

 

 

バラハス空港からアトーチャ駅まで国鉄電車乗り継ぎ、

アトーチャ駅からスペイン高速列車AVEに乗って

セビージャのサンタ・フスタ駅、

 

サンタ・フスタ駅から

セビージャの路線バスの駅までの

タクシーで移動、

 

 

路線バスの駅から

カディスの路線バス駅。

 

カディスの駅からてくてく

遊歩道までは歩き。

 

改めると物理的な距離の長さにひょえーとなる。

 

シャルル・ド・ゴールは

あまりに大きい空港だったから

乗り換え迷子になりそうだったけれど

スーツが似合うきれいなCAさんに

こっちだよと教えてもらえたし、

 

 

アトーチャ駅でAVEのチケット買う際、

わたしの拙いスペイン語でも

笑顔で発券してくれたお姉さん、

 

同じセビージャ市内なのにサンタ・フスタの駅から

路線バス駅迄の行き方がわからなかったけど

 

なんとかいろんな人達に助けられて

今ここに居る。

 

 

 
腕時計を見たら午後四時すぎたところ。
 
テトラポットの上で
野良猫たちもシエスタ《昼寝》 するのかと
微笑ましくなった。
 
 
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vamos, vamos, vamos!  vol.1
 
 
読んで下さって
どうもありがとうございます。
 
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