先週5月9日で最終授業が修了し、昨日までにすべての課題の提出が完了した。後は今月末の試験と、9月提出の修士論文を残すのみ。ずっと来たかったMBA留学の授業が終わったということは感慨深く、終わってしまったことが信じられない。
最後のモジュールは非常にボリュームがあり、具体的な企業を踏まえながら、学んだことをすべてを総仕上げするという非常によくできた授業だったと思う。
弟から紹介された日本の雑誌を読むと、ハーバードMBAホルダーたちの「勝ちパターン」と称する勉強必勝法がそれぞれ3つづつ掲載されていた。例えば、完璧主義をやめる、自分の成績を見える化する、ファクトベースで語る、などだ。何に関してでも、自分なりのスタイルを3つぐらいにまとめておくと、普段から心がけやすいし人に語る時にも便利だ。

また、イギリスの他大学MBAに留学している方のブログ記事には、卒業が近づいている中、自分がMBAホルダーと堂々と言えるかどうか不安といった心境の吐露が書かれていた。

専門知識や資格は学んだことを明確にしやすいが、MBAで注力している実践的なスキルはともするとうやむやなものになりやすい。そこで、自分なりに振り返ってみて、特に戦略的な思考力について学んだことを整理してみたい。

1.シンプルに考える
 複雑に見える事象も、本当の問題は1つ程度のことが多い。また、他人に説明することを考えても、極力シンプルにする努力が大事。

2.ジグソーパズルを組み立てるように見通す
 全ての情報を集めて判断するというのは現実的には不可能。必要最小限の情報で、全体を見通すことが必要。

3.自分の常識で判断する
 論理やフレームワークに過度に頼っていてはだめ。本当に自分が納得できるのかどうか自分の感覚で判断することが大切。

日本で生まれ育ち染み着いている日本的感覚があると、暮らし始めてすぐに日本とイギリス社会の根本的な違いに気が付く。いわゆる集団主義と個人主義の違いに由来するものだ。
学校でも役所でも不動産屋でも、日本のような痒いところに手が届く温かいサービスはなく、どちらかというと放任主義的な、必要だったら自分で主張して勝ち取れというスタイルに当初は戸惑う。

今回イースター休暇にスペイン、ドイツを回ってみて、文化的・性格的にはどの国も特徴があるものの、その根底には個人主義が脈々と流れていることを見ることができた。

日本に居ても、集団に必ずしもどっぷりと浸からず個人で生きている人も多いと思うが、おそらくそうした態度は単なる集団主義の端っこにいるに過ぎなく、欧米人を形作る個人主義とは根本的に異なっているように思う。それほど生まれ育って身に着けたものは土着力が強い。

具体的に言うと、イギリス人にはまずは個人があって、社会がある。個々人が生活をし、楽しみ、それらの集合体が社会になっている。集団に帰属することから個人が定義づけられる日本とは反対だ。イギリス人は無意味に集団でつるもうとはしていないし、自己主張することに過度に怯えることもない。

イギリス人教授と色々と会話した際の言葉が印象的だった。「個々人が自分で判断し自由に生きるということは不文憲法に象徴される。そうした自由度は非常に居心地が良い」。

もちろんいい点ばかりではなく、昨夏のロンドンにおける暴動のように、行き過ぎた個人主義は、自分だけがよければよいという「Me centred culture」を生む。これは日本の集団主義が行き過ぎ、過度な相互監視が働いている社会と逆の現象だ。

このように考察してみると、過去はどちらも行き過ぎを緩和するために異なる文化を取り入れ融合させる努力が、無意識的なものも含めて行われてきたのではないかと想像する。従って、日本人の均質的な社会や文化のみに関心を払うことは、逆説的に居心地の悪い日本社会を作り出してしまうように思う。