迷宮
昨日あおいと今後について話し合ってみた。
今あおいは私の家に転がり込んでいる状態にある。
このままここに居たいのかどうか。
正直な気持ちはここに一緒に住みたいそうだ。
独身男の一人暮らしである。
部屋も無駄にあるので、一人くらい転がり込んできても
まったく支障は無いのだが、私は一人を好む嗜好がある。
いやまずはその前に 今後のことだ。
誰がどこに住もうがこの際どうだっていい。
もしやと言う思いもあって再度尋ねてみた。
かなり私としては骨の折れる話し合いだ。
お互い今まで何も聞かず余計なことは大して話さずに
付かず離れずの理想の友人関係だった。
それがまさかこんなことを論議しているとは。。。
あおいは間違いなど無いという。
私をそれこそ愛していると言っている。
これを聞いてまじめな顔で受け答えできる人間が居たら
会ってみたいものだ!!!
私は不覚ながら青ざめてしまった。
顔が青ざめるとはよく言ったもので
人間窮地に追い込まれると真っ白どころではない。
青みがかった顔色になるのだ。
ちょうどあおいが座っている後ろに、大きな多少大げさな装飾の
姿見があって、遠めでは有るが私の顔色がみるみる変わっていくのが見えた。
愛してるとだと?
今愛しているといったのか。。
この辺の記憶は曖昧だ。
頭の中が渦巻いてどうこの状況を回避するべきか
ものごい回転率を上げて考えを廻らしていたのだと思う。
だが あおいの意は決していた。
そんな私のたじろぎなど何のその。
じっと見据えて 私が少しでも逃げようものならば
捕らえて縛り上げかねない眼をしていたのだ。。。
あんなに儚げなあおいが、今こんなにはっきりと
意思表示をし、それを私に手向けている
必死な目つきで私の魂を求めている
私はすっかり戦意喪失をしてしまっていた。
お手上げ Deadlock まさにそれである。
こんな面を隠していようとは・・
どちらかというと 顔があれだけの美貌だからか
つい女性的に観てしまいがちだったかも知れない。
腕っ節も性格も弱弱しいのでは、、、と。。
まったく気付かなかった
あおいの、狙ったものは取り逃がさないぞという確固たる意思が
今は私の意識に怨念のように響いてくる。
最初の告白時は 演技をしていたのか。。。
申し訳なさそうに何度も誤る姿がなんとも健気で儚げで
ここまでさせるなら私が無理をしたらいいことではと思ったくらいだ
だったのに。 どちらが本当のあおいなのだ。
今はもう、くもの巣に絡まれつつある蝶である。
表立ては平静を装っているが、きっとあおいの皮を1枚
めくってみたら溶岩の如く煮えたぎる血が巡っていそうだ。
その後は話し合いにもらならず 再度あおいが私にたいしての
気持ちを 以前の何倍にも増してぶつけてきただけで
その場はもう私が持ちこたえられなかった。
恥ずかしい話だが 若干意識を喪失しかけてしまったようだ。
私は多少だが病を持っている。
そうなるとあおいはたちまちやさしい仮面をつける。
そして私の最大の愛すべく友人を演じてくれる。
私は恐ろしい
今まで見てきたあおいは本当のあおいではなかったのか。
確かに必死さが尋常ではないのを観ると
本当にどうにかしてわかってほしいという気持ちもわからないでもない。
誰かを手に入れようと必死になっているときは
誰もがこうなるのだろうか。
あおいは私にも愛してほしいという。
だがそれが出来ない事はあおいも承知だったはず。
あおいは私の心を見透かす。
臆病になっているだけだと鏃を胸に突き立ててくる。
そしてわたしはそのままあおいの手に落ちてしまうのだろうか。
もしくはその方が良いのだろうか
まだあおいには何も答えていない。
答えられない
私自身の本当の気持ち自体わからなくなってしまった
少し前まではあおいが青ざめた顔をして悩んでいた
立場が逆転してしまったようだ
根本的に悪いやつじゃない。
だからもし思い通りに行かなくとも 物騒なことにはならないと思うが
私はやはりあおいを失うのが怖いのだ
それならばいっそ恋人同士になったほうが良いのか
でもそうしたらそれこそあおいを裏切ることにならないか
恐ろしいと一瞬思ってしまったが
やはりどこか哀しげな表情を私は見逃さなかった
あおいは純粋に私を好いているだけなのか
そうして私に愛されたいだけなのか
どうしてあおいが男で私も男なのか
性別の壁など関係ないのではないか
もう少し私に考えがあれば。。
まだまだこの奥深い迷宮からは逃れられそうにもなさそうだ
去年の今時期 あの頃はなんと平和だったことか