自分には長年悶々と抱えている悩み?があります。
悩みというか疑問というか…。

 

こんなこと言ったら「ちっちぇ奴だな」と思われかねなく、公にはしてきませんでした。

しかし時間をかけいろいろ調べ、やはりおかしいと思って行動することにしました。

 

それは、訪問看護指示書に関する「返信用封筒」問題です。

 

訪問診療の患者さんなど、訪問看護師さんにも協力してもらって体調管理や内服管理、保清、軽いリハビリ、排便処置、あるいは点滴などしてもらうことがあります。
その際、医療機関の医師が「訪問看護指示書」という書類を発行して、それを元に訪問看護師さんは訪問看護を開始します。

 

その訪問看護指示書を作成する際、訪問看護ステーションから「訪問看護指示書の作成依頼書」が届きます。
「○○さんの訪問看護指示書について○月○日からの指示書の作成をお願いいたします」みたいな。

 

そこに「返信用封筒」が入っているかいないか問題です。

 

ずっと昔は切手を貼付した返信用封筒が入っているのが常でした。
しかしここ最近は半々くらいでしょうか。
多くの訪問看護ステーションに指示書を発行していますが、依頼が来るたびに返信用封筒が入っているか入っていないか、ネチネチとこの1年チェックしていました。

 

これが自分が悶々と抱えていたものです。

 

確かに訪問看護指示書はこちらから訪問看護をお願いすることではあるけれど、訪問看護からしても医療機関に発行をお願いする立場でもある。
「お願いする方」が用意するものだと思いますが、この考え方だとどっちもどっちです。
というか、「患者さんに訪問看護が必要」という「事実」があるから訪問看護が入るわけで、「どっちがお願いする」という問題でもありません
ただ嫌な考え方をすれば、指示書あっての訪問看護です。
訪問看護指示書がなければ訪問看護に入れないわけですから、どっちかといえばお願いする方は訪問看護の方になります。
でもどっちが上とかどっちが下とか、そういういやらしい考え方は嫌いなので、「お願い」という概念はここには存在しないこととします。

 

となると、訪問看護に関係して「どちらに高い報酬が入るか?」というドライな考え方でいった方が良さそうです。

 

医療機関側には通常の訪問看護指示書を発行・交付すると、「訪問看護指示料」として300点が収入となります。
つまり1通交付すると3,000円です。
訪問看護指示書の指示期間はこちらで決めることができますが、状態が落ち着いている患者さんでしたら大抵は「6ヶ月」です。
1ヶ月ごとに指示書を作成し、こまめに訪問看護指示料をせしめている医療機関もあるようですが、そういうことをしていると厚労省から注意を受けます。
ずっと昔、個別指導という場で、厚労省の役人から医療が適切になされているかチェックを受けたことがあります。
その際、訪問看護指示書もチェックされ、指示期間もチェックされたのです。
「そこまでするんだ」と、そのあら探しっぷりに感心しましたが(イヤミです)、自分は「6ヶ月」としていることがほとんどですので、それをみて指導官は一言、「いいですねぇ」だって。
なんじゃそりゃ、ですよ。
状態が悪い人、変化しそうな人だったら1ヶ月とすることもあり得るのですから、患者さんの状況を確認して、そして指示期間を確認するのならまだわかります。
患者さんの状態を確認せず、ただただ「指示期間」だけをチェックしていたのですから。

 

患者さんの状況によっては6ヶ月よりも短く書くことも可能性はありますが、自分は基本「6ヶ月」で作成しています。
状況が変わったらその都度再発行すれば良いのですから。

 

話が少し脱線してしまいましたが、責任持って作成した6ヶ月有効の書類作成費用が3,000円です
月にしたら500円です。

 

一方訪問看護の報酬はどのくらいか。
一般的な訪問看護の場合、1回当たりの報酬は8,000~9,000円といわれています。
間をとって8,500円とします。
もうこれだけで医療機関の収入を飛び越えています。
たった1回訪問看護に行くだけで、訪問看護指示料3,000円よりも大きな収入を得られるのです。

 

少なく見積もった場合、落ち着いている患者さんの場合、2週に1回の訪問看護となるケースが多いです。
すると月の報酬は17,000円
6ヶ月で102,000円

 

週に1回の訪問看護という場合も多々あります。
するとそのときの報酬は単純に上記の倍になります。
月に34,000円、6ヶ月で204,000円

 

医療機関「3,000円」vs 訪問看護「102,000円(204,000円)」

 

です。

 

これみたら、返信用封筒と切手代は訪問看護ステーションが用意するべきではないですかね?
普通の感覚ならそう思うのではないかなと、自分は思うのですが。
ちっちゃいですかね?

 

というかこれだけ収入が得られるんだから、封筒と切手代くらい負担してほしいものです。

 

もちろん訪問看護の方は人件費、交通費等の経費がかかりますから実際の「儲け」は上記の数字よりは少なくなります。
それでも3,000円よりは多いはずです。
ちなみに人件費のことを持ち出すなら、指示書作成に5分~10分かかるとして、そこにも人件費はかかるわけです。

ですから医療機関の収入は厳密には3,000円よりも少なくなります。

 

いろいろ調べると、全国の一般病院だけでなく大学病院や公立病院までも、「返信用封筒」を求めているところが結構あるのですね。
ちゃんとネット上でも明言しているところが多数あります。

 

ということで、自分の中でこのままではいけないと思い、いよいよ行動に移しました。
下記のような文書を返信用封筒がない訪問看護ステーションに郵送しました。
ちょっと長いですがご紹介します。

 

というか、こういうのを郵送しなくて済むよう、自分たちで考えて欲しかったですけどね。
自分からしたら余計な労力です。
なんなら名前出しちゃってもいいと思いますが、大病院であのワクチンの危険性をいち早く訴えた禎心会系列の訪問看護ステーションは自発的に「今後は返信用封筒を同封することにしました」としてきたのです。自分は何も言ってませんよ。

 

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                            令和6年5月○日
訪問看護ステーション管理者様

 

                       おおきな木ホームクリニック
                           院長  関根 徹

 

平素より大変お世話になっております。
訪問看護指示書依頼に関わる「返信用封筒」について、今後は切手を貼付した返信用封筒の同封をお願いいたします。

 

一部の解釈として、平成24年3月30日の厚生労働省保険局医療課の事務連絡において、

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「疑義解釈資料の送付について(その1)」
(問123)
C007訪問看護指示料について、訪問看護指示書の様式は、訪問看護ステーションが準備するものか。
(答)
訪問看護指示書は、医師の診察に基づき、医師の責任において交付するものであるため、医師の所属する医療機関が準備し、その交付についても医療機関の責任において行うものである。
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を持ち出し、返信用封筒は発行する医療機関側が用意するものだと主張されているケースもありますが、上記はあくまで医療機関・医師の責任が持つのは指示書の内容・交付に関することであり、「返信用封筒」については明言されておりません。

 

また報酬上も、医療機関が1通の訪問看護指示書を発行した場合3,000円程度であり、一方訪問看護においては1回当たりの平均が8,500~9,000円となります。
月2回の訪問看護として、1通の訪問看護指示書(大抵6ヶ月の有効期間で発行しています)で、約100,000円の収入となります。

これら収入の比較を鑑みても、あくまで個人的見解ですが返信用封筒は訪問看護ステーションが用意することが妥当であると考えられます。

 

現に全国の公立病院、大学病院、市中病院でも、返信用封筒の同封を依頼しているところです。
(一例)
・横浜市立病院https://yokohama-shiminhosp.jp/kankei/about/visiting_nursing.html
・近畿大学病院https://www.med.kindai.ac.jp/medical_institutions/application_home_care_service.html
・九州大学病院https://renkeicenter.hosp.kyushu-u.ac.jp/medical/
・筑後市立病院https://www.chikugocity-hp.jp/cooperation/_1745.html
・和歌山県立こころの医療センターhttps://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/050112/d00212883.html
・碧南市民病院http://hospital.city.hekinan.aichi.jp/region-people/houmonnkango-91086/
・加古川中央市民病院https://www.kakohp.jp/wp-content/uploads/koumonkangosijiirai20220408.pdf
・阪南病院http://www.hannan.or.jp/houmon_dl/
・札幌共立五輪橋病院http://www.gorinbashi.or.jp/medical/chiren_shiji2a_202312.pdf

 

今後、当クリニックへ訪問看護指示書作成依頼する場合は切手を貼付した返信用封筒の同封をお願いいたします。もしくはクリニックへ指示書を取りに来ていただくようお願いいたします。貴ステーションから作成依頼書が当クリニックに届いてから1週間以内に作成いたします(年末年始等長期休暇時は除く)。作成依頼書到着1週間後よりクリニックにお越しいただければと思います(その際は事前に電話連絡・確認をお願いいたします)。

 

ご理解のほどよろしくお願いいたします。
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上記にあるとおり、この返信用封筒問題について「疑義解釈資料の送付について(その1)」(問123)を持ち出して、返信料封筒は訪問看護ステーションが用意するものではないと主張されている方がいます。

 

「医師の所属する医療機関が準備し、その交付についても医療機関の責任において行うものである」
とは書いてあるけれど、医療機関は指示書を準備し責任持って交付するするということであって、「責任持って郵送する」とは書いてありません。
何なら医療機関の負担の元に郵送するなんて明言されていません。

 

「疑義解釈資料の送付について(その1)」(問123)を持ち出すのはあまりにも曲解しています。

 

上記大学病院、市民病院なんかも、返信用封筒を同封するか、窓口に取りに来てくださいとしています。
「指示書は責任持って作成・準備します。欲しけりゃ返信用封筒を同封するか、窓口に取りにきな。」ってことなんでしょう。

 

確かに「疑義解釈資料の送付について(その1)」(問123)に書いてあることは、その部分までです。

 

ただやっかいなのが「交付」という意味です。
「交付」には「(書類などを)発行すること」という意味と「引き渡す、手渡すこと」という意味があります。

 

「引き渡す、手渡すこと」という意味で捉えると、「医療機関が責任持って渡す」ということになります。
しかしそうだとしても、あくまで「責任持って郵送・発送(作業を)する」「責任持って渡す」ということであり、郵送代のことに触れられているわけではありません
切手代、封筒代は医療機関の負担とは書かれていないのです。
でも返信料封筒を用意しない訪問看護ステーションは勝手に医療機関負担と思い込んでいるのです。

 

そもそも、このように書類関係に使われる場合の「交付」の意味は、「発行する」という意味で捉える方が自然です。

 

日本語ってムズカシイ。
もっとわかりやすく書いてほしいものです。

 

こんなことを書いているまさに昨日、とある大きな病院(K病院)のリハビリ担当から、「訪問診療依頼書」に住所・病院名・医師名・捺印を記載して返送して欲しいという封書が届きました。
自分のやる作業としてはクリニックの横判(ハンコ)を押すだけですからちっとも労力がかかる作業ではありません。
そしてこれに関わる診療報酬の算定は特にありません。
つまりうちの収入はゼロです
かたや依頼してきたリハビリ病院は、リハビリやらリハビリのための訪問診療やらで大きな収入が得られます。
なのに、切手を貼付した返信料封筒すら入っていないのです。

 

うちはこの書類のやりとりで何も収入がないのに、うちの負担で返送したら、うちはただただ収支がマイナスになります
そんなバカな話はありません。
マイナスになるのだったら郵送しませんという話になります。
喜んでマイナスになる事をするバ○がどこにいるのでしょう。

 

ということで、早速A病院の事務に電話かけました。
「この書類によってうちは何か診療報酬は算定できるんですかね?」
とまず聞きました。
自分が知らないだけで、何か算定できるのかもしれませんから。
その回答は「たぶん算定できるものはない」という。
「それだったらうちは返送するだけ郵送代がマイナスになるのですから、返信用封筒を入れてください」
と言いました。もちろん丁重にね。

 

ということで、今度「返信用封筒だけが入った封筒」が届く予定です。
なんという無駄なやりとりでしょう。

 

というか上記のことがわかっているのだったら、最初から返信用封筒を入れるのが礼儀ですよね。
「何も言ってこなきゃいいか」くらいの気持ちなのでしょうか。
このケースの場合は特に返信用封筒を入れるのが常識・当たり前のことだと思うのですが、それすらわからないのでしょうか。
そういう人が増えているのでしょうか。
がっかりします。

 

なんだかこんなことばかり書いていると自分がケチじじいのように思えてきます。
でもメタトロンの感情のところでは「ケチ」は出てきませんのであしからず。

 

というか、どこかの大臣がデジタル化を強引に推し進めようとしていますが、こういう書類のやりとり、電子メールじゃダメなんですかね

診療情報提供書もいちいち紙で郵送しなければなりません。
夜間・休日など患者さんが緊急で入院した場合など、自分はクリニックにきて情報提供書を作成しその病院に診療情報提供書や採血データなどを取り急ぎFAXします。
これ、電子メールで済むなら、自宅にいながら事が済みます。

 

余談ですが、先日珍しく早めに自宅に帰ったのですね。
そうしたら患者さんが緊急で入院したと連絡がありました。
結局早く帰っても意味がありませんでした…。
クリニックに戻って情報提供書を入院先の病院にFAXしました。
そのとき必ずその病院の救急外来に電話をして、FAX番号を確認します。
FAX送信を終え、自宅に戻りました。
しかしその1~2時間後、その病院から電話がありFAXが届いていないとのこと。
「あぁ、FAX番号間違えてしまったのか。やっちまったな。いや、でもしっかり確認したはずなんだけどな…。」
と思いながら、またクリニックに戻る羽目に。
その日、自宅からクリニックへ3回目の出勤です。

 

で、FAXの送信履歴を確認してみても、FAX番号に間違いはありません。
でもエラーとなって送信できていなかったのです。

 

で、聞いたFAX番号に間違いがなかったか、改めてその病院に連絡し確認しました。
すると番号に間違いはない。
もう一度FAXしてもなかなか届きません。
結局、向こうの病院の看護師さんと電話をつなぎながらFAX送信を試みます。
こちらは「送信中」と表示される、相手側も「受信中」と表示される。
でも完了しないのです。

 

そんな一悶着があり、結局向こうの病院の違うFAX機器に送信したら無事送信できました。
救急外来のFAXの調子が悪かったのですね。
まぁそんなときもあるでしょうが、結局一段落したのは23時頃でした。

 

こんな時、電子メールだったらパッと終わるのになぁと思ったものでした。

 

まぁ患者さんの個人情報盛りだくさんの書類になりますから、強力な暗号化などの技術は必要です。
ただのメールだけじゃハッキングされるリスクがありますから。

 

しかしオンラインで書類のやりとりをできるような基盤を作ってくれたら、相当負担の軽減になります。
返信用封筒で悶々とする必要も無くなります。

 

使えないマイナ保険証をゴリ押しするより、こっちを優先してやって欲しい。
切に思いますね。
マイナ保険証のシステムよりも簡単だと思うのですが。

 

ケアマネさんとも書類のやりとりをする機会が多いのですが、特に「ケアプランについての照会」のやりとりが多いです。
大抵は紙の文書かFAXでのやりとりとなります。
ちなみにこの場合100%返信用封筒は同封されています。
先日始めてこのやりとりが電子メール(書類はエクセルファイル)でなされました。
汚い字で書く必要がないですからたいそう楽でしたねぇ。
パパッと仕事が終わります。
このように電子メールで照会してきたケアマネさんにちょっと感心してしまいました(ちなみにこのときのやりとりでは漏れたらまずいような個人情報は含まれていませんでした)。

 

災害の時を考えてもなんでもかんでもデジタル化というのはどうかと思いますが、医事文書のやりとりのデジタル化はあってもいいように思います
自分はアナログ的なことは大好きですし大事にしたいと思っていますが、形式化したようなやりとりはデジタル化でもいいと思うのです

 

ちなみに鍼灸院やマッサージの同意書などの依頼もよく来ます。
この場合もほぼ100%返信用封筒は同封されています。
入っていないのは一部の訪問看護ステーションなんですよねぇ。

 

この秋から郵便料金が大幅値上げするようですが、経営が厳しいのはどこだって一緒です。
「その書類によってどちらが大きな収入を得られるか」
でどっちが郵送代を負担するのかを決めるのがフェアじゃないでしょうか。