夕方、帰宅する頃には、薄暗くなっていることが多い。


自宅の前は、私道でその向こう側に運送会社の倉庫がある。いつもトラックが往来し、フォークリフトの音がする。


その日、帰りついたばかりの私に背後から


「すみませ~ん。すみませ~ん。」


と、フェンス越しに声を掛けられた。


何事かと思って、振り向いたら、若いお兄さんが、空気入れがあったら貸して欲しいと言って来た。


快諾して、うちの中に入り、フェンス越しに空気入れをその青年に渡した。


私は、洗濯ものを取り込みながら、青年が自転車のタイヤに空気を入れているのをチラチラ見ていた。


使い方が間違っているようだったので、説明した。


青年は、人懐こい笑顔で


「これ、使い易いですね。軽いですよね。どこで買ったんですか?。」


と、話しかけた。


主人が見つくろって、手に入れたモノなので詳細は、わからなかった。


そうして青年は、お礼を言って、その場を離れた。


困っていたのだろうが、帰って来たばかりのおばさんによく「貸してください」と声が掛けられたなぁと、感心してしまった。


あんなに気軽に頼まれるとこちらも気にせず、気持ちよく貸せるもんだと思った。