昨日、帰宅したゆきちゃんは、おやつを食べながら、私に委員会活動での出来事を不満げにぶちまけた。


いつも、私は、夕飯の支度をしながら、ゆきちゃんのおしゃべりに、しばらくつきあうことになる。


「ふーん、へー、そうなんだー。」

自分の意見を言うことなく、相槌をうつ。


中学生になった頃、ゆきちゃんは毎日、毎日、学校での不満を口にした。


私は、話を聞いて、ハラハラすることや心配することもよくあった。


「ゆきちゃんは、文句ばっかり言ってるね。」


と、くぎをさした私に、ゆきちゃんは


「じゃあ、私はどこに想いを吐き出せばいいのよ!!

って、悲痛な叫びをあげた。


おそらく、慣れないお友達と学校で、気を遣い、我慢をし、ボロボロになっておうちで胸の想いを吐き出したかったのだと思う。


ひとりっ子で、じゃれることもケンカする相手もいなくて、文句を言う相手と言えば、この役にたたない母親だけだったのだろう。


その頃から、私は腹をくくった。


私は、ゆきちゃんの


愚痴のゴミ箱


に、なろうと決めた。


毎日、自分の意見はできるだけ口に出さず、ただ耳を傾ける。


正直、話を聞いていて、母として動揺したり、驚くこともかなりある。でも、ゆきちゃんは、色々な想いを口に出すことで、心の整理をしているのだと思う。


いまどきの高校生とは、ほど遠いゆきちゃんは、部活や、お友達、先生、行事などたくさんのことを考えながら成長しているのだと見守っている。


今日も、いたらぬ母は、ゆきちゃんの


愚痴のゴミ箱


となって、ゆきちゃんのそばにいるのです。