職場で同僚と二人きりになった時、


「話があるの・・・。」


と、話しかけられた。同僚といっても、私より十歳くらい年上の女性である。


創設された課で、新しい仕事として就いた時、私より2ケ月先に入職したのが彼女でほぼ同時期に働き始め、ずっと苦楽を共にしてきた。


「しーちゃんには、一番先に報告しようと思ってたのよ。ごめんね、3月で辞めることになったの・・・。」


彼女はいいにくそうに、私の肩に手を置いた。


そう、覚悟はしていた。そろそろ、その時期が来るのではないかと・・・。


私は、両手で顔を覆い、泣きだしていた。

たくさんの仲間が入ってきて、たくさんの仲間が色々な理由で辞めて行った。


私達は、この職場で12年目を迎えていた。いつのまにか、彼女と私は大御所と呼ばれ、いろんな困難事例も淡々とこなしてきた。


数年前から、娘さんと息子さんの結婚、自宅の建て替え、お孫さんの誕生とめまぐるしく彼女の周りが変化していたことに、今の仕事のピリオドを打つ時が近づいていることを、私はうすうす、感じてはいた。


でも・・・。


やはり、その時が来たことを、哀しく、苦しく思うのである。


あと少し、彼女と一緒に仕事ができる。

もう少し、彼女の優しさにふれていたいと思っている。