ある晴れた星の綺麗な夜だった。
心が落ち着かなく、なかなか寝付けなかった。
ゆったりとした心地よい音楽を流しながら、窓の外の月を見上げる。
『待ってるから』
ぼくはハッ!として辺りを見回した。
可愛い少女の声だった。
たったひとりのぼくの部屋。誰も居ない部屋。
空耳だったのかと思い、また月を見上げる。
『ここ。ここよ。ここ』
また少女の声がした。
よくよく窓の直ぐそばのアジサイの葉に、ちょこんと座っている小さな少女がいた。
『やっと気づいてくれた』
少女はニコニコ笑っていた。
ぼくはビックリしつつ、はじめてみる可愛い小さな少女を驚かさないように顔を近づけた。
『きみは?』
『あなたのおうちのアジサイよ。いつも見てたの。あなたのこと』
赤紫色の綺麗な瞳でぼくを見上げるアジサイ。
『あなたに伝えたくて』
『なにを?』
『ちょっとだけね。あのね。きっと海に行けばあなたの探している答えがあるわ』
『海って・・・・・』
『どこの海か?は、あなたがわかっているはず・・・・・じゃぁね。それだけ言いたくて』
少女はニコニコして手を振ると、すぅーっと消えていった。
『海・・・・・』
そう呟いた瞬間、ぼくの中で何かがストンと落ちた。
今、ぼくは海に向かっている電車の中にいる。