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【小説】マジすか学園4 〜空を仰がぬ者〜

12/20更新スタート。

伝説の女、前田敦子が去って2年後の入学式。
麗らかな春のその日、新総番武藤十夢と新入生達の新たな戦いの蕾が芽吹く。

マジすか書きたい!こんなマジすかであって欲しい!そんな作者の願望丸出しの駄文置きです。




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入学式翌日。
ミオンは1人で通学路を歩いていた。空は青々と晴れ、空気はすっと澄んでいる。ミオンは「んーっ!」と伸びをして、ピッと立ち止まった。

「隠れてないで出ておいで」

ミオンがそう言うと、突然道端の茂みからピョンと人影。ミオンの横に現れたのはコミだ。

「むーっ!ばれてたー?」
「ばればれだよ。むしろばれなかった事ってあったっけー?」
「ぐぬぬー」
「ほーら、タツマキちゃんも早く!」
「へ?」

タツマキを呼ぶミオンに、コミは驚いた様子を見せる。ミオンが見ているのは、今来た道。コミも倣って見ると、500mほど先にある塀の陰から小さな陰がモジモジと現れた。

「みーおん、やっぱすごいにゃー」
「へへーん、でしょー。タツマキちゃーん!そんなに離れてないで、一緒に行こー?」

大きく手招きするミオン。コミはそれを見て、真似るように手招きしようとした。

「ぐるぐるちゃん!ほら、はや……ええっ!?」
「……お、おはよう、ございますぅ///」
「おはよー。いい天気だねー」
「そ、そうですね!!」

「……」

ごく自然な流れで歩き出したミオンとタツマキ。コミはあまりの驚きに、手をあげたまま歩き出せないでいた。

「この距離を、一瞬で……?」

タツマキが立っていたのは500mほど先の民家の塀。そこからここまで、コミが手招きするミオンを見た、その一瞬で来たことになる。コミがぽかんとして呟く。

「世界は広いなぁ……」
「ほらコミ!何ボーッとしてるの!早く行くよ!」
「あ、うん!」

ミオンに呼ばれたコミは、少し先を行く2人の元へ早足で追いつく。
校門が少し向こうに見える。コミは今日起こるであろう喧嘩を思い出して、ミオンに尋ねた。

「それはそうとみーおん。昨日のあの子はなんなの?知り合い?」
「わ、わたしも気になってました!あの方とはどういう関係なんですか……\\\?」
「あー、大和田南那ちゃん?私もよくわかんないんだー」
「(良かったー……てっきりみんなに秘密の仲なのかと)」

ホッと胸を撫で下ろすタツマキ。だがミオンの顔は神妙だ。

「でも……」
「でも?」
「きっと何か辛いことがあったんだと思う。あの色の目、見たことがあるから」
「……みーおん」

遠い目をして言うミオン。その横顔を見て、コミは少しだけ悲しそうな顔になった。タツマキにはそれが何を意味するのかわからなかった。





昼休み。
校舎の窓からは1年のテッペン決めを見るべく、無数の頭が校庭を見下ろしていた。
4階にある吹奏楽部の部室の窓からも、5つの丸い影が校庭を覗いている。ニコニコと笑顔で窓から身を乗り出しているのは、ラッパッパ四天王である、ブリッツ、タカウジ、グレン、ユウカと、ラッパッパ部長の十夢。部長とSは部室内の長椅子にかけている。
ブリッツが甘々な撫で声で言い出す。

「も~。始まるの、お~そ~い~!」
「そーだそーだ!予を待たせるとか、マヂないんですけど!」
「早く始まって早くおわんねーかなぁー!俺は何時でも出撃出来るってのに!」
「まったく、あんた達はどんだけせっかちなのよ……ねぇ?十夢さん」

ブリッツの後に続けたタカウジ、グレンをジト目で見てユウカが言う。事を急かす他の四天王たちを制した事を褒めて欲しくて、笑顔を作って愛しの十夢を見ると、隣の十夢は窓からもっと身を乗り出して、しかめっ面で叫んだ。

「おい!一年坊!さっさとやれよ!!待ち切れねぇんだよ!!」

下から「はーい!」というミオンの声。ユウカも慌てて「早く終わらせろよ!なる早でな!!」と手のひらを返した。


そんな楽しそうな5人を横目に見て、部長が声を小さく言う。

「残ったのは向井地、OL、ダンマリ、そして……大和田、南那。名簿を見た時、珍しい苗字じゃないと自分に言い聞かせたが、ここまで残っているとなると……」
「大和田?どこかで聞いたような」

Sが腕を組んで眉間に皺を寄せる。

「そうか。お前は転入してきたんだったな。それでも大和田日那の名前は聞いたことがあるだろう」
「大和田、日那……ハッ、まさか、あの……」

驚くSの声を背に、部長はゆっくりと窓まで歩く。十夢の横に立ち、校庭を見下ろすと、ナナとダンマリが向き合っているのが見えた。

「目元が、そっくりだな」

「ああ」

そう呟いた部長とそれに答えた十夢の目は真っ直ぐで、その黒に光は無かった。







「はーい!
……ってなわけで、グーパーで2組にわかれよう!」


ところ変わって校庭。上から聞こえた十夢の声に笑顔で答えて、ミオンは握った拳を前にずんと出した。OL、ダンマリもゆっくり手を伸ばす。が、ナナは手を出さない。

「そんな決め方をする必要はない。私はこいつと戦る。向井地、お前はそっちとやれ」

ナナが指差したのはダンマリ。

「えー?そんな決め方でいいのー?」

ミオンが不満そうに言う。ナナが冷たい声で答える。

「派手な決勝に、雑魚は必要ないからな」
「っ……!!!!」

「んあぁ!?なんちやきさんこらぁ!!」
「あー!ちょっと待って、待ってってー!」

ナナにOLとダンマリが詰め寄るのを、ミオンが間に入って制する。

「2人とも落ち着いて!ね?早くグーパーしよ!」

「……!!」

ミオンの声を無視して、ダンマリが血走った目でナナの方を向いて構えた。その表情には憎悪すら伺える。ナナは口角を片方だけ上げて、指を伸ばした手で構える。

「ちょ、待たんね!そいつはわたしの獲物バイ!」
「……無理だよ」
「はぁ?」

ダンマリを止めにかかろうとするOL。それをミオンが右手で進路を塞ぐようにして止めた。

「だってあの子の目、マジだから」
「マジ……?」
「きっと何かあったんだ。あの子にも」


一瞬、ミオンの表情から笑顔が消えた。OLは力を抜いて睨み合う2人を見た。
ダンマリとナナはお互いに走り出した。