政府ガイドライン又は法制化?

 

 日本では、政府ガイドラインで創られた研究規則は、ほとんど法的強制力がない。さらに、この政府ガイドラインは、さまざまの研究課程や医療に照準を当てた政府各部門によってつくられた。日本は法制化を避ける傾向があるが、それは新法成立が難しいのと、立法後は、今度は改正が難しいのが主な理由である。他方、行政ガイドラインは柔軟で、改正することも採用することも調整することもできる。ガイドラインに違反すると公的補助を失うなどの厳罰があるため、日本では行政ガイドラインは力を持っていると考えられる。しかし、ガイドラインは不規則に適用され、新たな問題が起きるたび、その研究分野や医学的課程のために新たな規則が作られる。

 ガイドラインの一貫性もまた問題で、現場の混乱を招く。日本政府の構造は縦割りで、各政府機関の役割は特化され、問題は、多数の機関の相互関係を通じて、少ない協力や遅い方法によって取り組まれる。こうしたガイドラインの下で、ガイドラインはさまざまの省(厚労省、文科省、経産省など)及び関係各局で独立に創られることが多く、さらなる混乱を招いている。このため、最近のガイドラインには、複数の省で創られることもあり、好ましい傾向と言えよう。

 

日本の倫理委員会

 

 私は、京都大学で4年、東京大学で16年、人間研究倫理委員会の委員長を務めた。次に、私自身の経験を語る。

 

倫理委員会の数と地位

 

 日本で最初の倫理委員会は徳島大学医学部で設立された。

 21世紀が始まると、研究を行う大学や病院の倫理委員会の数は劇的に増加した。上述の行政ガイドラインが各機関に倫理委員会を設けることを要求したからである。

 初期(1980代―1990代)には、各機関で倫理委員会が任意に設置された。研究規準に同意しつつも独立した委員会もあったし、新しい技術に対し病院の方針を描くものもあった。2000年にガイドラインができるまでに、研究倫理委員会は明確に、学部長や病院長の相談役として指定され、患者等人間、人体とそのデータを扱うあらゆる研究は研究倫理委員会によって承認されている。