倫理委員会委員とその役割

 

 ほとんどの研究倫理委員会は、金銭的にはボランティアによって運営されている。大学や研究機関は、外部の委員に対して僅少の謝礼を払うだけである。私のような内部委員は支払われたことがない。私は、ボランティアとして20年間、倫理委員会の委員長を務めた。その間、私は年に7-24回、電話で京都大学医学部の脳死患者の腎臓移植に対する潜在患者のインフォームドコンセントを確認する仕事に当たった。ある時は午前1時38分に電話があり、朝5時前に大学病院に行かねばならなかったが、交通費は京都大学病院から支払われることはなかった。

 政府ガイドラインに従った倫理委員会を立ち上げるには、一人か二人の専門外の委員を探さねばならない。だから、我々は、専門外の役割とは何かの問いをしなければならない。アメリカの倫理評価制度は、人種差別や不十分な患者擁護がある背景に抗して発達した。したがって、倫理委員会は一般大衆の視点を代表する人の参加を必要とした。

 日本はこの制度を導入して使い始めたが、その歴史や文化的意味を理解していなかった。日本は、相対的に同一人種であり、奴隷制や差別の歴史に直面してこなかった国である。さらに、既存の制度(臨床研究法 2017)では、患者の権利は弁護士又は生命倫理の知識を持つ者に代表されることになっていた。

 私が探した専門外委員は、退職まで数年残す名誉教授、医薬品会社の退職者、小中学校の校長、僧侶、主婦だった。行政ガイドラインの緩い制限の範囲内で、各機関はそれぞれのふさわしい専門外委員を決めるのに裁量した。このことは、後述するように、別の問題を引き起こした。

 私が専門外委員就任を依頼するとき、多くの候補者が訊いた。「私は何をすればいいのですか」。これに応えて、私は提案した。「患者又は研究者の靴を履いて(その気持ちになって)、説明様式や同意様式が理解しがたいとき、何かが間違っているとの直感を持ち、声を上げて言ってください」。