専門外の委員を抱えることの複雑さは以下の例で分かる。ある素人委員がインフォームドコンセントの様式は理解しにくいと不満を言った。私は注意深く聞いて、多くの変更を提案した。その見直しにかなりの時間をかけた後、彼女はまだよくわからないと言った。私は彼女に聞いた。「あなたの指摘する箇所に研究者は何を変更すべきだと思いますか」。彼女には返答がなく、適当な代替案を提案することができなかった。

 この現象は、倫理委員会の素人委員に限ったことではない。例えば、生物学のバックグラウンドをもった外部委員から、個人的な科学的興味に従った質問をしたり、単純に自分の知識を披歴したりということがある。

 総じて、委員は議論すべきことを理解していなかった。倫理委員会の委員の役割を学ぶ教育の機会は、日本では極めて少ないのである。

 

臨床研究法の施行

 

 直近の立法は、上述で引用した2017年の臨床研究法である。この法律はディオバン事件(高血圧剤のデータ改ざん事件)と同様の、大学と企業の共同研究において明るみに出た研究不正に主に対応して創られた。

 この法律は、以下に掲げる特殊臨床試行だけを対象とする。

1.医薬医療機器法による特別目的のため、未承認か不承認の医薬品を臨床試行する

2.医薬品会社の資金による会社の医薬品を臨床試行する

 

 政府の見解では、この法律が特定の臨床試行だけに適用するのは、過剰な規制が研究の自由を弱めるので一部だけを規制する主旨である。しかし、多くのタイプの研究が行われる中で、この法律は、たった二つの臨床試行だけに適用され、政府は認定臨床研究審査委員会を必要とした。これによって、認定検証委員会は研究倫理委員会から切り離される。このことは、政府に報告しなければならない様式を非常に増やした。

 日本で初めて、認定検証委員会の委員が法に基づいて任命され、認定検証委員会は、以下の者を含むとされる。

1.医学又は医療の専門家

2.弁護士又は生命倫理学者(人権尊重を理解する)

3.専門外