Cash is reality,Profit is a matter of opinion


これは携帯電話器世界シェアNo.1のノキアのTシャツのロゴに使われた

 

会社法と内部統制


(新)会社法は、2006年5月より施行されました。


株式会社のうち、会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)には、取締役の職務の執行が法令や定款に適合することなど、会社の業務の適正性を確保するための体制として、内部統制システムの構築の基本方針を決定することが、会社法上、明文化されています。


会社法の施行により、会社経営の自由度が上がるため、内部統制の強化が義務付けられた形です。


ところが、会社法にはどこにも「内部統制システム」という言葉は登場しません。実は別の言葉で表現されています。
それでは,会社法における「内部統制システム」についてどのように表現されているのでしょうか。


会社法 (取締役会設置会社)
362条 4 項 6 号 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制、その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

362条 5 項 大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項6号に掲げる事項を決定しなければならない
会社法施行規則
100 条 1 項
1 号~ 5 号

 

法第362条4項6号 に規定する法務省令で定める体制は,次に掲げる体制とする。
1. 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制.
2. 損失の危険の管理に関する規定その他の体制
3. 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
4. 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
5. 株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
 
100 条 3 項
1 号~ 4 号
監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む)である場合,第1項に規定する体制には,次に掲げる体制を含むものとする。
1. 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
2. 前号の使用人の取締役からの独立性に関する事項
3. 取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
4. その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制


この「体制の整備」が、一般的に「内部統制システム」と呼ばれ、法務省が発行しているパンフレット
「使える・使おう 会社法」の15 ページに、


Q 4 大会社のコーポレート・ガバナンスについては,どのような見直しが行われるのですか。
会社法では,(1)すべての大会社において,取締役の職務の執行が法令や定款に適合することなど,会社の業務の適正を確保するための体制(いわゆる「内部統制システム」)の構築の基本方針を決定することを新たに義務づけることとするとともに・・・
 

と、表現されています。


パンフレット「使える・使おう 会社法」 (法務省)(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji96.pdf


この内部統制システム構築の基本方針は「取締役会設置会社においては取締役会、取締役会設置会社以外の会社においては取締役の専決事項」とされています。
(会社法第348条第4項、同第3項第4号、会社法第362条第5項、同第4項第6号、会社法第416条第1 項、第2 項、第3 項)


その基本方針は経営の基本に係る重要な事項であるため、「取締役が2人以上存在する会社および、取締役会を設置した会社について、その決定を代表取締役等に委任することを認めない」こととしています。(会社法第348条第4項)


大会社である取締役会設置会社においては、平成18年5月1日以降最初に開催される取締役会において、この内部統制システム構築の基本方針を決定しなければなりません。
(会社法経過措置政令14条)


取締役会における内部統制システム構築の基本方針についての当該決議の概要は、事業報告の記載事項とされています。事業報告は、従来の商法の営業報告書に代わるものであり、取締役は事業報告を定時株主総会に提出又は提供し、その内容を報告しなければなりません。
(会社法施行規則第118条、会社法第438条第1項、第3項)


会社法は、明示的に罰則規定を設けていません。しかし会社法では、取締役等が善管注意義務を果たすことを確保するための内部統制の整備を求めているのであり、取締役の善管注意義務(会社法330条・民法644条準用、旧商法254条3項)ないし忠実義務(会社法355条、旧商法254条ノ3)の内容とされています。つまり、この構築を怠ったがために会社に損害が発生した場合には取締役は上記の義務に違反したとして損害賠償責任を負うことになります。


尚、「内部統制システム」については、平成14年改正商法では、委員会等設置会社についてのみ規定されていましたが、内部統制はどのような会社でも必要であるため、会社法においては、その他の会社についても規定されました。


・取締役会設置会社の内部統制 (会社法施行規則第100条)
・取締役会設置会社以外の会社の内部統制 (会社法施行規則第98条)
・委員会設置会社の内部統制 (会社法施行規則第112条)

 


ただ、実際に企業の指針となるべき「会社法施行規則」においても内部統制システムの構築水準について明確にされていません。決議しなさいと述べているに過ぎないため、内部統制システムの構築水準については各会社において判断する必要があります。


日本版SOX法では、内部統制のフレームワークを示していまので、考慮することも一つの手段です。