Twitterで試しに

 

「ベトナム人 嫌い」

 

と検索するとたくさん出てくる。様々な人が「ベトナム人が嫌いだ」とつぶやいている。嫌韓感情ならぬ〈嫌越感情〉は頂点に達しているのか。日本人の嫌いな外国人の中のワースト3に入った感がある。中韓越。


 これは2022年6月20日現在


これは2021年2月のもの

 

妻はベトナム人、娘は日越のハーフの私にとってこういったツイートは残念だが、そのかなりの部分が頷けてしまう。窃盗などでベトナム人犯罪が目立ってる為か。2022年末で日本にベトナム人は480000人いるそうで、そのうち摘発されたのは3432人。定量的に見たら1%に満たない数字なのである。


「ベトナム人=泥棒」


 という観念すら持つ日本人がいるのは完全にメディアの印象操作もある。50年前の1973年に 司馬遼太郎は『人間の集団について』でベトナム 論を書き、元々は泥棒など少ない国で現金などを持たなくてもいい時代は平和だったと書いている。戦争が全てを変えてしまった。


つい先日もある噂を聞いたが、ハノイの日系のスーパーで売られている商品は、日本に住んでいるベトナム人が泥棒をして横流ししたものが相当含まれているとのこと。まったくろくでもない。外国人に対して甘いことを言う議員は、こういう現実が見えておらず、外国人犯罪に対して厳しく接する議員の方が信用できる。質の悪いベトナム人はお帰り頂くのが一番。

 

だが、少し冷静になっていただきたいのは、日本の中にいる183000人のベトナム人技能実習生に過度にとらわれているようだ。

 

「技能実習生=ベトナム人」

 

ではない。確かに彼らの悪いニュースはよく聞く。窃盗、逃走など大抵は実習生。彼らは100万円以上の借金を背負って日本に働きに来た挙げ句、その扱いの酷さと手取りの給料の少なさに愕然とし、悪い日本人かベトナム人に出会ってアンダーグラウンドに入っていくというケースが多い。


私は、ベトナム人の中学生、高校生、大学生、社会人、実習生に教えているので、日本人のベトナム人像が、どうも出稼ぎ労働者的な実習生から受けた印象で語られてしまうことに懸念がある。


彼らの価値観は近年多様化が進んでいて、必ずしも経済的動機だけで日本に接近しようというものだけではない。日本の清潔な街に感銘を受けたり、ゴミの行政について深く考えたり、色々な認識を作文で見かける。以下、トップクラスのベトナム人の作文をお見せしよう。

 



19歳。日本人がびっくりする日本語を話す子もいる。多様な彼らの像を認識していただければ嬉しい。

ベトナム人と言っても、居住地で大きく異なる。ハノイという都会と、田舎の例えばネアン、タインホア、バクザン、ハイフォンなどのベトナム人とは全然違う。またサイゴンとハノイの違いも大きい。ハノイでは欧米人と普通に英語で会話しているようなベトナム人もいる。フランス哲学について熱弁をふるうベトナム人もいる。


日本に留学する学生は、どちらかと言うと欧米とかに行く実力がないので選択している場合もある。

 

しかし肝心なのは技能実習生だ。彼らのなかにも優れた学生はいるが、総体的には作文などを書かせても、安易な一般化が目に付く。一つの現象を見て、あたかも全部がそうであるかのように言う。「日本人は親切です」みたいな言い方を平気でする。それを許容している日本人教師も多い。これは一概に日本語が下手だから起きる問題ではない。言語のうまい下手には、母語での思考力が大きくかかわっており、国語ができない学生は結局外国語力も怪しい。

 

多くの地方出身の技能実習生は、残念だが「情弱」であまりものを考える訓練をしていない。日本に関する知識もほとんどない。人口は知らない。全く無知な者はベトナムの人口すら知らないのだ。


今円安が進み技能実習生が日本で働くメリットを感じにくくなっている。もう日本は出稼ぎする国じゃない。これは日本人の賃金を上げるいいチャンスだ。結局賃金の安い技能実習生を使い続けることで、その場しのぎが日常的になり、技術革新が日本において進まないのである。「安物買いの銭失い」的な根性が日本人を貧しくしている。


ベトナム人の教育も必要だ。例えば、作文を毎週書かせて、何でこういう思考をするのか聞いてあげたらいい(文字の書き間違えなどのチェックははっきり言ってどうでもいい)。事実と意見の混同はないか、チェックしたほうがいい。日本語教師でなくてもできる。


ベトナム人から見た日本人の理解しがたい点として挙げられるのは、言語化しない、黙ってみているから気味が悪いというもの。

 

これは日本人の欠点。


仕事は目で見て盗むもんだ!


なんて時代ではない。愚劣な経験主義を振りかざすなかれ。そういうのは日本人同士でも疲れるのだ。