パラゴン 7(最終) | Whistle Stop Cafe Ⅱ

Whistle Stop Cafe Ⅱ

Les Aventuriers Deuxième étape

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パラゴンといえば岩崎さん

【6よりの続き】
何とか48ではないのだが、音楽再生でセンターは音楽のキモで、
ステレオ録音がセパレーション志向で左右の広がりを重視した結果、
肝心のセンター音像は、実体のない、ただのファントム音像がそこにあるだけなのが、ステレオ再生特有のふわっとしたつかみどころなき楽器の再現性で、
音像の中抜けだとか、最悪左右のスピーカーを行ったり来たりでは、
気になってしまって、音楽をゆっくり聴くどころではない。
ステレオ感をデフォルメせんがための、ステレオ再生時における異常なまでのエフェクトやリバーブのトッピングによって、ごまかした音場優先で本来あるべき音楽の太い幹である音像が、実は疑似音像だという事への違和感を感じないまま、
頑固なまでに2本のスピーカーは当然と信じ込んでいる。

ステージで楽器を演った経験のない方や、ライブや演奏会の実体験の少ない、頭でっかちなオーディオマニアが陥る袋小路がそこにある。
ライブ演奏で楽器の音が左右から別々に聞こえて来ることなどなく、
あくまでセンターを中心に広がっていくのがライブ演奏であり、
座席がステージより左右に移動しても、センターから程良くブレンドされ
実体のある個々のソロ楽器は、五重塔のように重層的に配置されて、ライブ会場を包んでいくわけだ。

生演奏なら聴く位置を移動しても、音像までもが移動してしまう事はない。
(ステレオ再生の場合、身体をずらしただけで、音像が移動しバランスが崩れる。
眼科や、メガネ店で計測に使う器具で頭を固定されるままの状態で、
音楽を聴かされるような状況を想像すれば分かりやすい。
ステレオ再生のただ一点しかないピンポイント聴取位置を強制されるという、
馬鹿げた聴き方に陥るのである。)

ライブ会場にいるようなセンターの薄まらない、むしろ楽器本来の音色が
しっかり聴け、渾然一体となった融合感とリアルな実体感が、左右2本のスピーカーによる再生で、忘れてしまったものではないだろうか。

パラゴンのリフレクターによる反射とブレンドに実体的なセンター定位を
物理的に解決していった、ステレオ専門用スピーカーシステムと同時に
疑似音像でなくモノラルでしか体験できない本来の音像のリアリティが
薄口の偽音像であるステレオ録音のソフトでも、簡単に体験できる物理的な解決策として製品化された魔法の箱なのだが・・、
大概、いや殆どの場合、究極のリアリティーをもたらす筈の魔法の箱が、
パンドラの箱と化しているケースが多いのだ。



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故・岩崎千明氏 早くは、JBL D130 晩年はパラゴンの伝道師だった。
当時、咳き込むのが気になっていたが、病気は進行していたようだ。 
オモチャに囲まれた子供のように、嬉しそうな顔。懐かしい一枚。