いつものようにある広報誌をチェックしていましたら5月末にビッグバンド
による生演奏会が謳ってありました。私はいつもそうなんですがギリギリ
になって主催者に電話して会場で前売りの料金でいれてもらうという虫の
いいやり方で入場するのが普通なんです。で、いつものように期日の5日
まえに電話しましたら、主催者であるAと名乗る方が電話口に出ました。
私は”うっかりして見過ごそうとした、どうしても聴きに行きたいので前売り
券をわけて欲しい、でも時間がないので当日、受付で渡してくれませんか
4人で伺います”と常套句を口にしました。いつもならここで主催者は喜
んで”ありがとうございます、受付に準備して置きます”で商談が成立す
るはずだったんですが、Aさんは”ありがとうございます”までは順調でし
たが、”4人もお越しいただくようでしたらコンビニでチケットを購入して、
お越しいただいたほうがよろしいかと思います。手前味噌ですが結構
人気があって電話で受け付けても当日、入場できないことがございます
でもチケットをお持ちでしたら入場をお断りすることはできません”と、
自信ありげにいうじゃありませんか。あたしゃ、慌ててコンビニに走りま
した。コンビニではスタッフが”マシーンで、お宅でも簡単に入手できます
よ”といいましたが、まえにも知ったかぶりをして失敗したことがありまし
たので店のスタッフにお願いをしました。いやあ、ピアノタッチで流れる
ような作業の末、チケットをゲットしましたが、私のような年寄りにはムリ
だと思いました。そんな経緯を経て会場に行きましたらガランとして受付
の女性は”当日券も沢山ありダイジョーブですと現代言葉が返ってきま
した。あたしゃ詐欺にあったような忌々しさで主催者兼バンドマスターを
睨んでしまいました。さて、司会者の素人らしい頼りないトークでスタート
しました。ビッグバントらしい迫力ある演奏がこじんまりした会場に響き
渡ります。聴いたような曲だと思いましたら松田聖子の「白いパラソル」
でした。’81年の作品だといっていましたから空のうえでお茶くみをして
いる娘が12歳で南方の日本人学校に通っていたころの曲でした。素人
らしい歌い手ふたりのお嬢さんも唄ってくれていましたが、愛想笑いも、
初々しい素人さんでした。いわゆるこのバンドは昭和のアイドルソングを
探求するのが目的で結成されたそうで、それだけにアイドル歌手の事情
に詳しいんです。聖子が声帯を痛め、そのときの唄った歌が「風立ちぬ」
だとか、まさにアイドル命っていうぐらいハマっていて目下、それらの発掘
作業に追われていると楽しそうに語ってあり、熱弁が過ぎて”みなさんこ
れは伝統芸能ですよ、伝統文化を絶やしてはいけません、そう思いませ
んか”と呼びかけながら”今日お土産に差し上げた”アイドルソングの年表
はぜひトイレにでも貼って置いてください”には爆笑の渦になりました。最
後にギャラリーの飛び入りのコーナーとなり、私のすぐ後ろの席のおっさ
んが舞台に飛び出していきました。実は後ろから風が来ると思って振り向
きましたら、唄う歌手と同じフリを演っていたんです。そのおっさんが歌は
ともかく見事な踊りを披露してヤンやの喝采を浴びていました。つぎはもっ
とダイエットしたらというような元お嬢さんが登場して見事な声を張り上げ
ていました。ビッグバンドに一歩もひけをとらない素晴らしい熱唱でした。
ここにも、忘れないで欲しいという、にやっとする集団がありました。
いやあ、司会業からマイク、照明、あるいは歌詞の手配まで中小企業
のシャチョーように孤軍奮闘で奥さん泣かせの方、初々しい歌い手さん
年齢不詳の後ろの席の振り付け師のおっさん、それにボリューム満点
の元お嬢さん素敵な一夜をみなさんありがとう ぐっさんハイ!