続けて佐藤先生の嘆きです。考えされられました。「年寄
りが敬意を払われなくなったのは急速な「文明の進歩」の
ためだ。私はそう思っている。折しも東海道新幹線の「の
ぞみ」が15キロアップで東京新大阪間を2時間22分で
走るようになったとテレビが伝えている。「3分」アップ
したということである。3分アップ?それがなにや、と私
は思う。3分早くなったのが何がめでたい。何でそう急ぐ。
飛行機に客をとられないためにスピードを上げることに熱
中していると解釈してくれた人がいたが、もしそれが本当
なら浅はかとしかいいようがない。進歩というものは「暮
らしの向上」ひいては「人間性の向上」のために必要なも
のであるべきと私は考える。我々の生活はもう十分に向上
した。私は九十年生きてきているから、これだけは、はっ
きり言えるのだが、この九十年の間には国の浮沈にかかわ
る国難はありはしたものの、それをバネに私たちの生活は
日に日に豊かになり便利になり知的になった。そうして、
「もっと便利に」「もっと快適に」と欲望は膨張していく。
文明の進歩は我々の暮らしを豊かにしたかもしれないが、
それと引き換えにかって我々のなかにあった謙虚さや感謝
や我慢などの精神力を摩滅させていく」。ごもっとも。
貧乏で不自由な時代、我々はそれが当たり前だと思っ
て育った。「弱者」「強者」という意識もなかった。
それを乗り越えるパワーが皆にあった ぐっさんハイ