おかげさまで退院してキーを叩いています。入院中にはたくさんのドラ
マと遭遇しました。そのことについては追々、出前をさせていただきま
す。とりあえず発信待ちの駄文からお付き合いください。 店主軽薄
アジア美術館で写真家の篠山紀信展があるというので写真マニアの友人
と出かけました。久しぶりに川端商店街を通りましたら英語をはじめ中
国語、朝鮮語、そのほか解読不明な言葉が飛び交い、すっかり国際交流
の場に変身していました。ひと昔まえは博多弁がまかり通って運がいい
ときには博多座に出演中の役者さんと会えるという下町らしい風景でし
たが、街中も急速に変貌しているんですねえ。信号の長い待ち時間を突
破してアジア美術館に、たどり着きましたら友人が待っていました。
さっそく会場で案内図を手にして、一番最初に「きんさん、ぎんさん」
の特大写真が出迎えてくれました。通の友人が言うには”これぐらいの
大きさ(たたみ2畳あまり)を拡大するにはかなりの機材を使わないと
うまく表現できない”と造形の深い彼らしい言葉を発していました。ま
るで生きているような躍動感あふれた逸品でした。きんさん、ぎんさん
といえば生前、インタビューで”出演料はなんにお使いですか?”と訊
かれて”はい老後のお金に使います”と平然とお答えになったのを思い
出してしまいましたが、ユーモアーたっぷりのおふたりの長寿の秘訣の
ひとつだったのではと思いました。その横には顔に艶のある男盛りの寅
さんが目を細めながら下駄のような四角い顔で”よ~っ老人諸兄来たか
ご苦労さん!”と呼び掛けているようでした。会場をすすみますと三島
由紀夫が上半身裸で真剣を持ってこっちを睨んでいました。今にも切り
かかってくるような殺気を感じました。会場のなかほどにはお目当ての
宮沢りえのヌードがありました。今みたいな無理やりダイエットをした
ような姿ではなく自然体の輝いた伸びやかな姿態がありました。シノヤ
マというだけで躊躇なく裸体を投げ出す結構な商売だなとすこし妬けて
きました。相撲取り、、若貴など和製力士の全盛期の時代の写真でした
歌舞伎役者の写真もありました。化粧や衣装を変えていくことで役者が
変身するのを知りました。私が一番驚いたのは坂東玉三郎の女形の姿で
した。その艶やかさと手で触ったら衣装の肌触りが感じられるような立
体感が平面であるはずの写真から感じ取られたんです。篠山紀信の凄さ
を感じた一枚でした。
シンガポールの動物園でオラウータンのまえで数時間粘って
撮った作品が大賞を受賞したことのある友人に”傑作を撮る
コツはなんですか”と問いましたら”それはハートだよ”と
仙人みたいな答えが返ってきました。 ぐっさんハイ