トップとして私が言い続けていたことが3つある 。「マルチ・ナショナル・
マインド」。人種、宗教、文化を理解し「ヘリコプタービュー」専門会社に
とじこもらず高い場所から全体を見渡す視点をもて「鳥瞰(ちょうかん)」
と同じだが地上の動きも確認できる適度な高さのヘリコプターでと社員
に説明した。「スピーク・アップ」は私が常に実行を求めていることのひと
つで意味は”思い切って話しかけろ”と言ったらいいのだろうか。日本人
は真面目だが「沈黙は金」という発想が強く言葉のコミニュケーション、
より以心伝心のような相互理解を重視する。私は根が楽天的でオープ
ンなせいか大きな国際会議でも初対面の大物にできるだけ「スピーク・
アップ」するようにしている。01年11月、横浜で開催されたAPEC首脳
会議に私も招かれ会場は静まり返り誰も首脳に話しかけようとしない。
私はチャンスだと思い”ミスタープレジデント”とオバマ大統領に歩み寄
り話しかけた。大統領は一瞬ぎょっとしたものの、すぐ笑い顔になり”な
んのお仕事をされていますか”と聞いてきた。私は”エンジニアリングの
会社でアメリカでいえばベクテルのような会社です”と応えると話が盛り
あがった。同じ会場で韓国の李明博大統領「アシアの知性」といわれる
シンガポールのり・クアンユー元首相とも私から積極的に話かけたこと
で覚えていただいた。「スピーク・アップ」が多国籍の企業・人が参加する
プロジェクトで重要と認識させることが多々あった。「スピーク・アップ」は
今後、益々重要になるであろう。企業の最前線に立っていると”儲かるか
どうか”という視点でものを見がちだ。海外の様々な会議に出ることで、
ビジネス以外の視点の必要性を益々感じるようになった。13年1月16日
アルジェリアで日揮が建設していた天然ガスプロラントが武装過激派グル
ープに突如、襲撃され10カ国40人の尊い命が奪われた。うち、10人が
日本人、7人が日揮の関係者だった。本社には献花のため多くの方々が
足を運んでくださった。献花の中には”遠い異国の地で資源国のために
働いてきた皆さん方を誇りに思っています。安らかにお眠りください”と書
き添えもあった。事件後、社員が海外の現地に赴くことに不安を感じて、
いるのではないか懸念した。だが全く違ったもので、社員は海外プロジェ
クトに以前にも増して意欲を燃やすようになった。合同慰霊祭で”犠牲者
の遺志を継いで資源国のプロジェクトに貢献していくことが本当の供養に
なる”と私は弔辞を締めくくった。私は半世紀に渡ってエンジニアリングの
仕事に携わってきた。日本全体を見渡すと最近は少子高齢化、人口減少
など問題ばかり指摘されるが街の住みやすさ、便利さ、治安、食の安全
など日本がトップクラスのよい社会であることは間違いない。日本の良さ
日本人の美質を経済や社会の活性化にどう繋げるか若い世代に与えら
れた課題だ。今の若い人たちをみて一番気になるのは耐える力の弱さだ
なにか試練があると折れてしまう人が多いようにみえる。そろそろ終わり
に近づいたが、海外を飛び歩くハードな仕事を支えてくれた妻の桂子の
おかげだ。最終回を借りて”ありがとう”と言いたい」。と重久さんの語りは
おしまいです。あたしゃ、日本から遠い中東で活躍された氏の体当たりの
実話で、もっと身を乗り出すような逸話を期待したのですがタダではお聞
かせいただけませんでした。
ジパングでは溢れうんざりするような情報も海外では
銭や命のかかった貴重品なんです ぐっさんハイ
*明日は野暮用があって休刊とさせていただきます。