そこで女将は社員の意識改革を徹底させた。一個のお菓子を売って何
十円という利益を積み重ねていくことでしか会社を再建する道はなかっ
たからだ。再建のためにはこれまでの慣習も変えた。これまでは「女性
は不浄」として女将でも工場へは入れなかったが工場長と膝をつき合わ
せて生産計画の見直しを行った。”それまでは大量に生産して保管をし
ていたのですが、不要な在庫を抱えないように売り切り体制にしました。
お客さまに対しても、店頭に積んであるものを売るのではなく、注文を、

受けてから店の奥で詰めて包装して売る、という方法にしたのです”。
コスト削減も徹底させた。店舗も工場も役員の個室は廃止。女将自ら
店舗の清掃も行った。清掃を行うと菓子を包むひもの切れ端がたくさん
でてきた。”包装が終り、ひもを切るときに両端を切ると数センチの切れ
端が出ます。片方の端だけ切れば無駄は出ません。細かいことですが
少しずつの積み重ねが大切なのです”。社内には反発の声もあった。
『東京の人に金沢のことがわかるはずがない』と言う否定的な意見も、

あったほどです。しかし社員は経営に責任を持っているわけではあり
ません。森八がおかしくなったのは経営を他人に任せてしまったことが
原因です。企業を変えていくには、私たちの手の届くところに経営権を
留めることが重要なのです。最近は同族経営を否定的に見る風潮もあ
りますが『企業から家業へ』戻すことが必要だったのです”。幸いにも森
八の和議申請が大きく報じられたことで、”森八を支援しよう”との声が
地元では強くなり来店客は増加した。そこにサービス業としての意識の

徹底やコスト削減などが功奏し和議申請1年目から黒字を計上。結果
的に04年に計画よりも2年前倒しで債務の返済を完了した。今は「地
域への恩返し」の日々だという。新生森八では現在、店舗網の再整備
を行っている”と女将の口上を拾いあげましたが、インタビューの中で
”お給料は現金を入れた封筒を一人ひとりに手渡します”。”ウチは世
間さまのようなマニアルなんて指導書きはありません。私をはじめ古参
の社員がイチイチ言葉で伝えて身につけていただいています”。という

件には現役に戻った気がしました。感謝しながらスタップに現金を手渡
してそれぞれとコミニュケーションをはかりお仕着せ、、いやハートのな
い形だけのものでなくイチイチ言葉で伝え指導をすることで自分の言葉
や感謝をお客さまに伝えていくという老舗らしい女性の目線で「手間の
かかること」「不自由なこと」に情熱を注いであるんですねえ。つくり置き
ではなく注文を受けて遠方には例え夜中でもお客さまのところに着く時
間を見計らって職人さんがつくって届けるんだそうですよ。そうしてお客
から”美味しかったよ”の言葉をいただくことで発奮するんだそうです。
  

  女将のひと言:”ひとにしてやったことより、ひとにしていただ
  いたことを思い浮かべたほうが幸せでしょ”   ぐっさんハイ