いつものように照明が明々と点いた舞台で繰り広げている社交ダンス
を眺めていましたら”この場所は私が、とっととたと”とニワトリみたいな
おばさんに追い出されて別の席でときどきダンスの会場で顔を合わせる
おばさんの隣りの席で”あれはだれ、これはだれ、こんな病気を克服し
て出場した”など、へ~というような裏話を教えてもらいながらA級つまり
トップのレベルの選手が出場してきました。その中で背が高くすらっとし
て透き通るような肌をした金髪の女性とおっさんが現れました。金髪の

女性はウクライナ(旧ソ連)から出稼ぎだと隣のおばさんが解説してくれ
ました。早速、競技がはじまり快いワルツの曲に乘ってステップを踏ん
でいる金髪のレディとは対照的に相方は突っかかり引っかかりのおっさ
んはあたしのようなど素人にも、笑ってしまうような親しみのあるダンス
でしたから、一次予選で、おさらばだと思っていましたら二次予選にも、
のこのこ出てきました。場内から失笑が起こりましたが、おっさんは意に
介さず最初とおなじように渋滞の素になっていました。さすがに金髪の

レディも不快感を顕にしていました。もうこれまでと思っていましたら、な
んと準決勝にも知らん顔で出ていました。さすがに会場はおかしいよと
いうようなざわめきが起こりました。すると隣のおばさんが”あんひとは
ね、病院の院長さんで、踊る相手は今回は金髪ばってん台湾とかチャ
イナとか取っ替え引っ替え踊りよっと!”と吐き捨てるようにいいました。
”どのオンナもしばらくは金のチカラで先生のところに居ってもオトコをつ
くって出て行くげな”とざまあみろというような解説もありました。そのあと

”院長さんは、この大会に50万円寄付ばしたけん出られたと、だけん
決勝まであがるとよ、だれでん知った話よ”と私をみながら蔑むようにい
いました。しかし、あまりにも目立ち過ぎたのか決勝にはその姿はあり
ませんでした。”それからね、ここもそうだと思うけど、もう優勝者も決ま
っとると思うよ、表彰状も出来とるはずよ”と付け加えていました。地獄
の沙汰も、、社交ダンスも金次第というイヤな気分になってフトまえを
みましたら、みたことのある白髪の品のいいレディが、ヤブ医者とおな

じ組でステップを踏んでいるではありませんか、そうなんです。私が入
院中に隣りのおっさんを見舞いにきたひとでした。”おひさしぶり、相変
わらず優雅なダンスですね”と声をかけましたが反応がありませんでし
た。そりゃそうだよね、年老いて鳥打帽を被ったおっさんが声をかけた
ってわかりゃしなさと呟きながら草笛光子をギュウッと縮めたような女
性の優雅な踊りに”31番!”と市場のセリ人みたいなダミ声をあげま
したら、いつものカミさんに知らん顔をされてしまいました。
  
   社交ダンスも銭次第 銭もないあたしゃ”ボランティアで
   踊って”を連呼する年寄りで~す      ぐっさんハイ