映画の祭典は世界各地で行われています。その中でも最も華やかな映画
祭としてアメリカのアカデミー賞があります。日本からも毎年多くの映画が、
ノミネートされています。映画大好き人間ですからテレビでアカデミー賞授
賞式の模様をながめるのが楽しみです。まだ黒人の俳優さんが主役を張
るのが珍しかった時代にアカデミー授賞作品「夜の大捜査線」の刑事役で
出演したシドニー・ポワチエが格好よかったですねえ。無能な署長が段々、
北部の刑事の才能を認め白人社会の冷たい視線の中で彼の捜査を見守
っていくうちに友情が生まれるんですねえ。事件が解決して駅でポワチエを
見送る時には彼のカバンを手渡すんです。素晴らしいラストシーンでしたそ
のロッド・スタイガーは、もう鬼籍なんですねえ。そんなポワチエ
がスペシャルゲストでプレゼンターとして今年の授賞式に顔を出していました
御年いくつか知りませんが、いいおじいさんでしたねえ。そうして粋な計らい
と主催者側は思ったのか私の青春時代にこんな美形がこの世に存在する
のかと思った、あのキム・ノヴァクも壇上に現れました。でも、正直いって
あたしゃ見てはならないひとを見たような思いで思わず目を伏せてしまいま
した。若かりしころのキム・ノヴァクは、そりゃあ、妖艶で鳥肌が立つような
美形でしたよ。あのねっとりした視線で見詰められると、おしっこをチビって
しまいそうでした(ちょっと、もっと雰囲気のある描写はできないの)。A・ヒッ
チコック監督の『めまい』なんかみているコッチの方がめまいを起こしそうで
した。『愛情物語』も絶品でした。タイロン・パワーの若きピアニストの役柄も
鮮やかでした。タイロン・パワーといえば『長い灰色の線』の鬼軍曹役が、
印象に残っています。F・シナトラと共演した『黄金の腕』もよかったですね
え。白い肌がとっても印象的でした。とくに私がいまでも胸の谷間、、じゃな
かった胸をときめかせるのがW・ホールデンと共演した『ピクニック』です。
ムーングロウという曲をピアノのソロに合わせ、ふたりが静かに踊りだすシ
ーンは瞼の奥に染み込んでいます。そんなキム・ノヴァクが孫みたいなイケ
メンに手を引かれて登場した姿には思わず目を伏せてしまいました。”ふる
さとは 遠くにありて 想うもの”、じゃありませんがイメージが商売の女優が
昨今のテレビで”懐かしい大女優の今は”なんて暴露番組に出演して同情を
買っていらっしゃいますが、さびしいですねえ。侘しいですねえ。その点、原
節子という伝説の女優は引退を宣言したあとは姿をみぜることなくお過ごし
のご様子で、お涙ちょうだいで目立ちたがり屋ぶりを遺憾なく発揮している、
連中は原女史の爪の垢でも煎じて飲んだら、、腹をくだしてしまうのがオチ
ですかな。あら、夢を売る商売の映画の話が夢を破る話になってしまいま
した。また機会があれば画面に現れることにいたしましょう。映画っていい
ですね。では、また、ごきげんよう、さようなら。
あとがき:
演劇界の大御所、仲代達矢(81)が映画に登場したのは黒沢監督の
「七人の侍」でした。それも通行人の役でした。凝り性の黒沢らしく、”な
んどもダメ出しで9時にはじまったロケは延々と続き、昼飯の時間になっ
ても”昼抜きで練習させろ”のひと声で、特訓の繰り返し。しぶしぶ”もうい
いや”のひと声で解放されたのは午後の3時。屈辱感で一杯だった。涙
があふれるほど悔しさが募りました。僕のシーンはカットされるのは疑い
ようもなかった。しかし、わずか2秒のエキストラ出演を映画館で観たとき
は驚きました”。そうしてムラムラと反骨心が燃え上がって監督から出演
依頼が来ても絶対に断ってやるぞと心に決めました。監督はリアリティー
を追求する姿勢を崩しませんでした。『影武者』での撮影では実際に百頭
以上の馬を集めて撮影しました。黒沢監督の注文は”馬は動いてもいい
けど人間は動くな”でした。ケガ人が続出した挙句、救急車も5台ほと来た
怒り心頭に発した役者たちは3日間のストライキを決行し撮影はストップ
されました。いい映画って昔は命懸けだったんですねえ。 ぐっさんハイ