”あたしゃ、おれおれ詐欺に引っかかります”と自信をもっていえる事件
がありました。で、その顛末記を出前させていただきます。話といいます
のは、昨夜いつものようにカミさんはウォーキングに出かけました。いつ
ものことですからテレビをみながら”気をつけて”とだけいってテレビに見
入っていました。しばらくしてなにげなく時計をみましたら半時間たってい
ました。つぎに時計をみたのが45分過ぎでした。いつもなら半時間過ぎ
たら”ああ寒かった”といいながら帰ってくるのに声がかかりません。そう

こうしましたら1時間経過していました。おかしいなと思いながらカミサン
のケータイを探しましたが見当たりませんでしたので持って行ったと思っ
て電話しました。すると”おかけになったところは只今でることができませ
ん”と冷たくテープの声が流れるじゃありませんか。こりゃ、おかしいと思
った私は彼女の一番、親しい方に電話をいれました。夜間でご迷惑を詫
びて事情を話しましたら、今日は会っていないといわれ”実は駅から家ま
で近道があるんだけど薄暗くて怖い道があるということを聞いたことが、

あります”と声を潜めながらいわれ、益々、行き倒れか事件に巻き込まれ
たという気になってウォーキングコースと思われる暗がりを見て回っている
うちに事件に巻き込まれたという不安が一気に襲いました。そうしてコンビ
ニがみえてきましたので、ケータイから110番をかけたことがありません
でしたし店のスタッフに”痴呆気味の家内が行方不明になったので探して
いるが警察にお願いしようと思っています”といいましたら気の毒そうにダ
イヤルをしてくれました。”もしもし警察です、どうしました?”という呼び、

かけに夢中になって答えてました。もうそのころには完全に事件に巻き込
まれたと思い込んでしまいました。”ご主人あわてないでゆっくり話してくだ
さい”となんども諭された私はすっかり事件に巻き込まれた主人公の連れ
合いになっていました。そうこうしながらも、ひょっとしたら帰ってきているか
もしれないと思い足は家の方向に向いていました。夢中で事情を説明して
いるうちに家に着きました。急いでドアを開けると、そこにカミさんがつっ立
って”こんな時間にウォーキングなの”と叱られてしまいました。私は今まで

の経緯を話しますと”いやだ、今日はゴミ当番っていったじゃないの”とまた
叱られてしまいました。そういえばそんなことをいっていましたが、粗忽な
私は1週間先の話だと勝手に思い込んでいたお粗末な一席でありました。
さらに翌日までそのお粗末の余波が続き、娘からのケータイがけたたまし
く鳴って”どうしたのよ、なにかあったの!”と詰問されて叱られながら昨夜
慌ててケータイしたのはカミサンにではなくて娘にかけていたということが
判明しました。いやあ、今でこそ笑い話ですみますが、おれおれ詐欺に簡
単に引っかかる珍事でありました。
  ”そうか大変だ!”というスイッチがはいったら思考が停止して思い
  込んだら命懸けになるひとは笑えないと思った事件でありました。
  娘がいうのにはケータイは孫との会話をというのは表向きであって
  本音は私が行き倒れになったり痴呆で行方不明になったときの、
  お守りでプレゼントしたといわれて、ああ年だなと思いました。
           ケータイがお守りとは こりゃ如何に ぐっさんハイ