また飲み屋の大将から電話があって”おれと例のベトナムの女の子が唄う
大会がある、よかったら来ないか”という短い内容でした。場所と日時を聞
いてあとはCPに助けてもらい、当日、会場に駆けつけました。会場には晴
れ着をつけた善男善女がたむろしていました。社交ダンスと違ってひとりで
唄うんですから、おのずと自分の存在感を示すような、いでたちになります。
そこへいくと社交ダンスのほうはカップルがひとつになる競技ですから相方
と調和させるというか、いわゆる社交場のような雰囲気となって集団見合い

のような様相を呈します。カラオケの場合はひとり舞台がほとんどですから
千差万別です。さて、飲み屋の大将とベトナムの子と同じ時間に待ち合わ
せて会場にはいりました。プログラムをみましたら、もう彼女の出番は、とう
に過ぎています。で、飲み屋の大将に事情を聞きましたら自慢そうに”実は
な、あんまり(出番が)早いから、あとにしてくれるように頼んだんだ、断られ
るかと思っていたらリンちゃんは今大会の目玉ですから、ぜひ出場してくだ
さいといわれた”と上向いていっていました。この業界も動向には敏感だ思

いました。さて、ふたりの出番までまた、好いた晴れたの歌謡曲に耐えよう
と覚悟して客席に着きました。天童よしみのような栄養が行き届いた、おば
さんや、マツコ・デラックスのような視野に辛うじて収まるような大型のひと
など入れ替わり立ち代り登場します。幸いなことに1番だけの熱唱というル
ールのためか、耐えることができました。気を遣った飲み屋の大将が私の
ところへ来て解説してくれました。パンフレットをみろといいますから広げま
したら、どこかでみたような男が載っていました。昔、あっこの物真似で食っ

ていた吉村だと大将が教えてくれました。そのほか数人の聞いたこともな
い歌手が載っていましたが、大将にいわせると「地方歌手」といって地方の
イベントがあると、出演料をもらうんじゃなくて自分で払って広告代も出して
でも出たいというひとがいるんだそうですよ。盲目の歌手と、吉村司会者が
アナウンスしましたらお母さんらしきひとに手を引かれてマイクの前で2曲も
唄っていました。資産家らしくアチコチの会場でみかけると話していました。
午後の部にはいりましたら主催者の会長という御仁が”今の日本は大変な

危機に直面している”とまるで国民決起大会みたいな台詞を吐いていました
が最後に”だからこんなときこそ、大いに唄って元気を出してください”とカラ
オケ屋の大将らしい言葉で締めていました。待つこと2時間余、やっとお目
当てのベトナムの女性が登場しました。師匠の大将が”兄貴、歌を聴いたら
全然違うと思うよ”と自信たっぷりに口にしていました。出だしはべトナム語
でなにか叫んでいます。大将が”ありゃ、お母さんに向かって元気だよ”とい
っているんだと解説してくれました。歌は日本語でした。声量といい張といい

見事なものでした。アッとい間に終わってしまい、疲れがドッときてしまい
ました。大将が遠くを見るように”最初は下手だった、だから、そんな歌なら
ベトナムへ帰れ!”とどなったりお絞りを投げつけたこともあった、でも泣き
ながら”マスター教えてください”といってきた。彼女はガッツがあった、今の
子にない根性があるんだ、それに才能があったんだ、ありゃ天才だ”と呟や
いていました。そういう大将も氷川きよしが地方歌手でデビューした「大川祭
(九州で最大の歌の大会)」ナンバーワンになった実力の持ち主なんですが
愛弟子を出場させると意気込んでいました。
    
夢を持つっていいですなあ ベトナム女性は高級官僚?歌手?
                    夢をお裾分けしてほしい ぐっさん ハイ

おまけ:で、ベトナム女性は優勝して10万円 大将は入賞して1万円を
  懐にいれて帰ったと電話がありました。今度は落ち着いた声でした。