今年もテレビ漬けの正月でしたが、まあ、民放のくだらないこと、一億人総白
痴化に邁進してまんな。もっとも老兵もそのひとりではありますが、、。そんな
テレビの番組で関西の喜劇王だった藤山寛美のエピソードが面白ろ可笑しく
語られて、顔がそっくりの娘さんがゲスト出演していました。駆け出しのタレン
トがもっともらしく台本を棒読みしていました。その台本の中に、デビューした
舞台でわずか1行の台詞で消えるところを天下の渋谷天外を相手に延々と
アドリブの芝居を続けて笑いをとった秘蔵映像をみたときに、この役者は、

正真正銘、只者ではないという天性の芝居ぶりに釘付けになってしまいました
そんな型破りのデビューを期に松竹新喜劇に入団。たちまち売れっ子になっ
たことは周知の通りでんな。ホンマのアホとちゃうかというぐらいアホの丁稚
役にハマッていましたな。スターになって大阪の夜の街に金に糸目をつけず
に豪遊して、「北の雄二(南都雄二)かミナミのまこと(藤田まこと)東西南北
藤山寛美」といわれ、戦後の上方を代表する遊び人として多くの逸話を残し
たそうでんな。なにしろ娘さんがタレントが棒読みする台本にイチイチ頷いて

ありましたさかい。飲み屋のボーイが”このポルシェ、エエ車でんなあ”とお世
辞をいうたら”ホンマか、そやったらお前にやるわ”というてホンマに車のキー
をポンとボーイに投げてしまったそうですさかい、そら、評判になりますわな。
飲み屋では酒を、ちょこっと女給さんの着物にこぼしたそうですわ、そしたら
寛美はんが”悪かったな”というて、そのお姐さんだけでなく店の子、全員に
着物を買うてやったそうでんな。そりゃ、モテるがな。奥さんがホルダーキー
を点検したら、家のカギのほかに40ものキーがぶら下がっていたそうでっせ

まだエピソードは序の口でんがな。あの天下の大歌手、ダイアナ・ロスが来日
したときのことでおます。楽屋にあいさつに行ったときの土産でおますが、な
んと100万の現ナマをポンと懐から出したという話でっせえ。”サンキュー!”
というてハグされたかどうか知りまへんが豪快なおっさんでんなあ。因みに夜
の街を散策するときには常に300万の現金を懐に忍ばせていたそうでっせえ
後輩芸人への面倒見が良かった寛美はんは、彼らの借金を立て替えることも
しばしばで、まだ売れていなかった月亭八方の1000万円の借金をキャッシュ

で立て替えようとしたが、八方自身が恐れ多いと断ったそうでんねん。そんな
破天荒な行状に借金がかさんで、39歳で13億円という大金のツケができて
もうて、とうとう松竹新喜劇を首にならはったそうでおます。ところがあなたス
ターが居ない芝居はお客はんがはいらんようになって、また復帰させたんで
おます。とまあ、妖しげな語りでおましたがアホがウリの寛美はんは滅多に、
舞台裏を公開したことがなかった中、弟子たちに”あんたらの芝居はお客さ
んにみせてやるという芝居や、みてもらう芝居したかったらもっと台詞を覚え
んかい!”と鬼のような形相で叱りつけていた姿が放映されていました。
 

 今から50年も昔の話でございました。”お客さんにお返しする”というて
 湯水のように遣った寛美師匠のようにお金を遣いたい  ぐっさんハイ