そうしてこの大会のトリとして、あの飲み屋の大将が登場しました。”今日は
遠路、兄貴夫婦が来てくれました。私にはかけがえのない兄貴です。その夫
婦に贈る歌です”とサプライズな挨拶のあと聴いたことのない唄を熱唱してい
ました。しっとりした演歌でした。その熱唱ぶりは身びいきとはいえさすが古賀
政男賞を受賞しただけの実力派だと思いました。今をときめく氷川きよしも、
無名のときにとった賞だそうです。唄い終わって目頭を押さえていたシーンに
場内からヤンヤの拍手が起こっていました。みていた私も目頭が熱くなりまし

た。なんとか堪えたイベントが終わりましたが頭がガンガンしています。でもね
カラオケが天敵みたいな言い方をしてしまいましたが、大声を張り上げて、仲
間から拍手をもらう姿は生き生きとして素敵でした。健康的で。ひと仕事を終
えた感じの大将とベトナムの女性が疲れた表情で現れました。大将が”リンち
ゃん、うなぎをご馳走するよ”といいましたら”わあ嬉しい、うなぎ大好き、学生
高いから食べられないよ”と食べ盛りのガキのように大喜びでした。あたしゃ
マレーシアに帰ったような気分になり、ました。アッチでは自分の感情をモロ

に出すのが普通ですからね。うなぎ屋に直行。最近ごぶさたになったご馳走
をまえにあたしゃ、好奇心丸出しで”どうして佐賀に来たの?”と聞きましたら
友好都市だからといっていました。”大将と知り合ったのは?”と訊ねましたら
”マスターの別の店のバイトの子から紹介されタト”と流暢な佐賀弁で応えてく
れました。大将が”ご馳走をまえにしての長話は食べ盛りの子には酷だよ”と
たしなめられて待望のうなぎ退治となり、しばらく沈黙が続きました。その沈黙
を破ったのはマスターでした。”兄貴疲れただろう?でもな、オレなんか9時前

からやってたんだぜ、司会をしながら”ギャラがはいるって口の中で唱えなが
ら堪えてたんだ”といいました。カミサンが”何度も衣装を替えて出てきたひと
がいたけどいくらぐらい出演料を払うの?”と外人みたいな質問を投げかけま
したら”1曲あたり6000円”と明快に応えてくれました。主宰者の財源になる
んですな。すこし落ち着いてきたところで女の子が”あの、、まえの出前で”太
った女の子と書いてありましたが、あれはね、テト(ベトナム正月)で1ヶ月間
故郷のお母さんの手料理を沢山食べたあとに、のど自慢に出たから太って、

たトヨ”と年頃の乙女らしく抗議めいた口調で弁解してきました。また出前屋
根性が出て”将来はどうするの?”と聞きましたらベトナムに帰ってなにか、
自分でやろうかと思っています”と答えましたら、大将がすかさず”この子は
日本の東大みたいなハノイ大学を卒業して佐賀大学にはいって4月から大学
院にはいるんだ、だからなんでもOKだ”とまるで自分の娘の自慢をするような
口調でフォローしていました。続けて”オレのところで働いているが歌がうまい
んだ、オレは弟子はとったことはないが、この子だけは例外で教えている、

ほかにも教えてといわれているがみんな断っている”とリンちゃんの歌唱力を
見込んでの特別のレッスンだといっていました。すかさず彼女は”でもマスタ
ーのレッスンは厳しいよ、泣きたくなる”と今流行のたくましい絆というか子弟
ぶりをみせつけられました。話が方言に及んで、最初はなにをいっているのか
さっぱりわからなかった、とくに「行かんとイカン」とか「~ケン」は、なぜ、そん
なに言葉の最後をパチッというのか不思議だったといっていました。食べ物は
旨いし、ひとは優しく親切だしいいところだと、お世辞をいっていましたが、たく
ましい留学生はすっかり佐賀に根を張っていました。
          
                 動物的なベトナム女性に負けそうになった 
                       草食タイプ ぐっさんハイ
  
  お詫び:カラオケをこよなく愛するひとや身びいきの駄文に不快な思いを
  させてしまい申し訳ありませんでした。紙面をお借りしてお詫びいたしま
  す(ちょっと!ホントに悪いと思ってんの!)。ええ、思っています(まあ、
  白々しい!)。