朝ドラに男性まで引きつけるようになった「カーネーション」は視聴率トップと
いう製作者側が小躍りするようなヒットを飛ばして千秋楽となりました。その
人気番組のまえの朝ドラはなんだったでしょう。そうですね、「おひさま」でし
た。「カーネーション」とは対照的にそれは、昭和の激動の時代を美しく生き
た人々の暮らしを通して幾多の教訓や家族の絆、世間とのつながりを教え
てくれたドラマでした。では振り返ってみることにいたしましょう。最終回が近
ずくに従ってトントン拍子に、めでたしめでたしのシナリオになっていくのかと
思いきや、主人公の陽子(井上真央)の実の親(良一(寺脇康文))が盲腸を
こじらせて入院。腹膜炎を併発して、容易ならざる事態になって嫁ぎ先を含め
たファミリーを大いに心配させるというくだりは画面に見入ってしまいました。
陽子の夫である和成(高良健吾)と兄の茂樹兄さん(永山絢斗)も見守る中、
父親は向こうに行こうか、どうしようかと迷っています。”お母さんお兄さん、
お父さんを連れて行かないで!”という陽子の叫びが通じたのかお父さんは
意識を取り戻します。その間、こどもたちは”お父さんがこんなに悪いとは思
わなかった”と口にして父親のことをなんにも知らなかったことに自責の念に
駆られます。夫々は、お父さんは強いひと、絶対だったと思っていたと口にし
ます。そうして敬愛する父も年をとり老いていくことを実感させられます。実は
この物語に似たような話がありまして、お叱りを覚悟で申しあげますが、80
後半になる、叔父貴をひさしぶりに訪問したときのことです。住まいは荒れ果
てて手付かず状態にありました。私は思わずあがり込んで掃除をしたり跡片
付けなど余計なことをしてしまいました。話を伺いますと、叔母が病床にあり
食事から清掃まで、ひとりでやるようになり定期的に病院に連れていくのも、
叔父貴の日課になっていました。行政やこどもたちがいますので、こどもた
ちにも手伝ってもらったらといいましても”家内のことはオレがやる”といって
聞き入れてくれず親父の意地をみる思いでありました。必死の看病にもかか
わらず叔母の病状がすすみ入院するようになりました。電車で乗り継ぎ2時
間も掛かる道のりを雪が降ろうが風が吹こうが毎日の日課となってしまいま
した。叔父貴は、やせ衰えて風に吹き飛ばされてしまうようなやつれようで、
ありました。みるにみかねた私は叱られるのを覚悟でこどもたちに手紙を書
きました。すると、こどもたちは、はじめて知ったようで、長女は直ちに同居す
るようになり、ほかのこどもたちも日替わりで実家に来ては叔父貴のお世話
をするようになりその対応ぶりには驚くような早さでした。こどもたちがいうに
は”父がそんなに弱りひとりで苦労していたことは知りませんでした。今まで
ご迷惑をかけてしまったことをお詫びします”といってくれました。私は改めて
叔父貴ファミリーの絆の強さを知らされて羨ましく思いました。敬愛する叔父
は、その後、食欲も回復し体重も元に戻って、体調のいいときには朝から散
歩を再開するようになり、また耳の痛い話も再開するようになりました。私も
反省するところでありますが、叔父貴は日頃から年齢を超越するようなスー
パーマンで叔母が病床につくまでは毎朝、5時から2時間の散歩をしたり屈
伸運動など私が顔を背けたいぐらい真っ青になるほどの元気さで、こどもた
ちにもそんなイメージがあったんですねえ。イメージと実像のギャップに驚か
されたのは事実だと思います。とにかくお父さんのピンチを知ったあとの素、
早い対応ぶりには脱帽しました。今では娘の手料理で元気モリモリ。お小言
も一段と厳しさをましてまいりました。で、この画面を睨んである、ご同輩。
”うんにゃオレは、こどもに弱味をみせたくない”。とか”心配かけたくない”な
どとおっしゃらないで、横を向きながらで結構ですから”ああ、オレも年をとっ
たな、どっこいしょ”とでも呟かれたら如何でしょう。あるいは、”ときにはお母
さんの顔をみに来い”と呟かれては如何でしょう。(ちょっと最近のガキはねえ
聞こえないふりをするのよ!)。
父は永遠に悲壮である 詩人 萩原朔太郎
お子さんへのあなたの想いが届きますように ぐっさんハイ
お子さんへのあなたの想いが届きますように ぐっさんハイ