突然、私のケータイがけたたましく鳴りました。めったにないことですから慌
てました。娘が孫との通話のために送ってくれたものですから、てっきり孫だ
と思ってカミサンに渡しましたら、慌てて私に返すのです。なんでだろうと思
って受話器をとりましたら、流暢な日本語で”カンさんですか?”といいます。
私は”いいえ違います、ぐっさんです”といいましたら”おかしいな、カンさんと
違いますか?”とたたみかけます。あたしゃムキになって”違います、ぐっさん
です”といいましたら”そうですか、カンさんではないですか”とがっかりしたよ
うな口調でいいました。電話を切ろうかとしましたら”ワタシ マイク ト イイ
マス アフリカジン デス”というじゃないですか。好奇心と英語をしゃべりた
くなって”Where do you call?”といいましたら”サイタマ”というじゃ、
ありませんか。てっきりアフリカからだと思っていましたので、なぜ埼玉から
電話したの?と聞きましたら”今ガーナで日本製の中古のバイク、自転車、
それに家電品の買い付けにきているというのです。”景気はどうだ”と聞きま
したら”円高でお手上げだ”と話してくれました。随分まえの話ですが、船旅
でケニアに行ったときに向こうの旅行社にはいり込んだことを思い出しまし
た。そこで”いやあ、ケニアっていいところだね気に入った。また帰ってきた
い”と芸能人みたいなお世辞をいったこともあって、帰宅したら、すぐ電話
があり”ケニアにはいつ来るか、ホテルやサファリーツアーなどの手配は任
せなさい”といわれてびっくりしたことを思い浮かべながら話していましたら、
”ワタシノ オクサン ニッポンジン デ クマモトジン”というんです。熊本なら
ハイウェーで1時間ちょっとで行く”といいましたら驚いていました。”もし博多
に来ることがあったら飯でも食おう”といいましたら早速、”ぐっさん、博多で
バイクや自転車、家電品の中古を世話してくれるところを紹介してくれ”と
厚かましい依頼がありました。向こうの連中はちょっと甘いことをいうとつけ
込んでくることを思い、苦笑いをしながら”See you again”といいながら長
電話を終わりました。最後に、あんたみたいにいろいろ話しかけてくる日本
人は珍しい、ぜひ会いたいといっていましたから、今度はカンさんじゃなくて
”ハロー ぐっさん”といってかけてくるのでしょうかね。それにしても管さんと
間違われるようじゃ、あたしも落ち目になったもんだと思いました。ジャンジ
ャン(そんなに浮かれてないで、オレオレ詐欺に引っかからないようにしな
さいな)。アッ、英語を習得するのに、死ぬほど苦労したことを思って、とき
どき街中にいったときには外人さんと思ったら誰彼となく話しかけて英語力
の劣化を防いでいましたが、今は面倒くさくなってやめてしまいました。年の
せいですかね。さて、おしまいに18歳の青年がハンガリーでこんな苦労した
話をある新聞に寄稿していました。「私は一昨年、ハンガリーに留学していま
した。現実は留学まえに想像していたものをはるかに超え気がつけば笑顔が
消えていた。言葉はハンガリー語で英語はほとんど通じない。しかも得意だっ
た英語でさえ他国からきた留学生と話す際、自分の語彙力のなさに気付かさ
れた。自信を失い、はじめてどん底に突き落とされた。そんなとき元乗客乗務
員の日本女性と知り合った。彼女もハンガリー語を勉強中で何より乗客乗務
員をめざしている私にはうれしい出会いだった。彼女の話を聞いて、このまま
どん底にとじこもってはいけないと英語もハンガリー語も猛烈に勉強した。そ
の努力の成果は日に日に現れた。ひとはどん底に落ちると諦めるか努力を
するかどっちかだ、その努力は簡単ではないが乗り越えると自信がつき強く
なる。あのとき諦めていたら、彼女と出会わなかったら、今の私はなかった(
いやあ、大したものだ、その気持ちおじさんにはよくわかるよ、大したものだ
これからのあなたの人生って「very cheerful(明るい)」(拍手)。
最初は「おれおれ詐欺」じゃないかと思った ぐっさんハイ