元旦でした、マンションのエレベーターに乗りましたら先客がありました。襟
巻きをした学生でした。かなり緊張した顔をしていましたので、”朝早くから
何事ね”と訊ねましたら”試験です”と応えてくれました。”正月、早々から大
変やね”といいながら”もう試験ね”といいましたら”ハイ模擬試験です”とい
い終わって足早に歩いて行きました。頑張らなくていい年になりましたが、
こどもたちには盆も正月もないことを知らされました。散歩を終えてテレビを

みていましたら、魚や鳥の大群が乱舞しながら、よく衝突しないなと感心する
シーンがありますが、あたしなんか、はぐれ鳥みたいで、まったく自信があり
ませんからつまみ出されるのがオチだと思います。人間の世界でも、びっくり
するのは北朝鮮でのマスゲームとか軍隊の行進があります。おなじテレビで
したが、日本体育大学の男子チームの、団体の行進が北朝鮮も真っ青にな
るような鮮やかな団体行進をテレビで披露していました。この芸術的な行進を

編み出した先生が女性でもやれないはずがないという信念で体育系の女子
学生に呼びかけて、44名の女子の学生を男性に負けない団体行進を実現
するまでの苦闘の45日間というドキュメントに釘付けになってしまいました。
男性だって半年は掛けた団体行動をわずか45日間でやろうというドラマに
見入った私は感動して思わずテレビに向かって拍手をしてしまい熱いものが
こみあげてきました。さてその女子団体行動の特訓なんですが、生徒には背

の高い子とそうでない子、太めの子フツーの子、手の短い子、綺麗な子(ちょ
っと、それがなんの関係があるのさ)あら、今年も天の声が聞こえるんだ。
ま、体形もバラバラで、それを瞬時に動いたり止まったり隊列を4列から2列
になったり、、隊列を指揮者の号令ひとつで変化をさせるという「団体行動」と
いう競技にチャレンジしていく人間ドラマなんです。白髪でひげをたくわえた、
70代とおぼしき先生が”おんなだからできないとか、私には無理だと思う者

は今ここから去れ、只チャレンジあるのみ、前を向いてやろうとする者だけが
残れ!”と怒鳴るようにいいます。だからといって”ハイやめますとはいえない
シーンでした。そうして特訓がスタートします。でもバラバラ状態が続きます。
ひとりの子は”今日から指揮者になれ”と突然、告げられます。その子はヘマ
続きでしたから外されたと思います。不満顔で隊列を離れます。先生は”不満
だったら帰れ!”と怒鳴ります。その子はびっくりしたような顔をしながら指揮

者として号令をかけます。でもそれがズレてしまいます。何度もやり直しなが
ら、なんとか団体行動らしくなってきます。やっと軌道に乗ったと思ったところ
で、また隊列に戻れといわれます。欠員が出て彼女はまた元のポジションに
復帰させられます。その子が動揺しますと全体に敏感に伝わって中々うまく
いきません。特に後退しながら、そのまま隊列の中に突っ込んでいく演技に
は転倒者が続出します。大手をふりながらの歩行ですから接触して大怪我

を負う子もいます。そんな特訓が公式戦のある日まで続きます。しかし一度
も成功しないまま、公式戦へとなります。すばらしい演技で観客だけでなく私
も魅了されます。そうして注目の科目である後退の競技となります。気の弱い
私は目を伏せながらアナウンサーの実況を聞き入ってしまいました。すると”
やりました!成功です!”という声を聞きながらリプレーをみて”よくやった!
えらい!”とつぶやきながら涙がこぼれてきました。画面は達成感を味あう
ように学生たちが抱き合っていました。
           感動や達成感はやり遂げたひとの特権だ ぐっさんハイ